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『黄泉のツガイ』はテンポ良く謎・伏線が回収される!令和最高の妹萌え漫画でもある!

黄泉のツガイ 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

黄泉のツガイ 2巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

 

『黄泉のツガイ』を読んだ。傑作だこれ

『鋼の錬金術師』『銀の匙』『アルスラーン戦記』の荒川弘先生の最新作です。

 

山奥の小さな村落に住む少年のユルは、野鳥を狩り、大自然の中で静かに暮らしていた。しかしユルの双子の妹のアサは、何故か村の奥にある牢の中で「おつとめ」を果たしているという。それはまるで幽閉されているかのように…。穏やかな村に浮かぶ不自然な謎、この村に隠された秘密とは一体…!?未曾有のツガイバトルここに開幕!!

 

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『黄泉のツガイ』レビュー

単純に設定とストーリーが神ってる

『黄泉のツガイ』はもう設定を明かしていくシナリオ回しが芸術的。1話を読んで「めちゃくちゃ面白れええええ!!」と叫びたくなります。それは物語の「どんでん返し」に有り。

 

例えば、冒頭で主人公・ユルが暮らす村は江戸時代のような文明なのです。

 

その中で牢屋に入る?「お勤め」をする双子の妹アサと狩りに制を出す兄ユルが平和に暮らしてるように見えたんですよ。

 

1話

 

これは昔の日本のようなところで仲良く暮らす兄妹の話なんだなって思うわけです。なんか妹を大切にしてるユルの言動がほのぼのします。

 

「お勤め」って具体的に何なのか分からんし、この双子は何かヤバイ感じの出生が触れられてたものの、平和的な田舎が舞台なんだなぁと。昔の日本人っぽい生活感がよく表現されておりました。

 

江戸時代のような文明レベルの世界観の作品なんだと読んでたら、開始20ページでひっくり返ってしまうのです。

 

1話

 

 

ええぇぇぇ!?

 

なんかヘリコプターが飛んで来たんだけど。軍隊みたいの出てくるんだけど。村人ぶっ殺しはじめたんだけど。キャラと一緒に「え?」「え?」となってしまいます。時代どうなってんの?

 

そう!『黄泉のツガイ』は江戸時代のような昔の日本でなかったのです。現代だったのです。なんか村に結界張ってて外界と遮断されてたのである。映画『ヴィレッジ』とか漫画『ランド』のような設定だったのです。

 

こんな「どんでん返し」が次々と起こって「えぇー!?」ってなること多数。「ちょーオモシレー!」ってなること無数。

どんどん出てきて明かされる設定

はい。アサだよ兄様。むえに来た(1話)

 

えええぇぇぇぇ!?

 

村が襲撃された。妹アサが襲われてた。思わず「アサ!!」と叫んだら、妹アサを襲ってたヤツが「はい。アサだよ兄様」とか言い出したのである。分からない。何が起きてるのか分からない。何を言ってるのか分からない。

 

と思ったら、こんな重要設定も2話で明かされて「そうだったのかー!」である。荒川弘先生クラスなら長期連載も約束されたようなものでしょうし、十巻以上かけて明かしてもよさそうな重要事項がポンポン判明していく。

 

まるでいつ打ち切られるか分からない新人作家のような最初から全力の「ありったけ!」なのです。引っ張らない!引き延ばさない。だから密度の濃さが半端ない。それでいて読みやすい。

 

超ド級の「真実」を1話の導入部分で次々とぶっ込んでタネ明かしするからビックリ仰天です。こんな「どんでん返し」がガンガンある。そして明かされるの早い。

テンポ良し

『黄泉のツガイ』はとにかくテンポが良い。伏線や設定を出して読者が「これは何なんだろ?」と思ったら、かなり早い段階で回収される。伏線や設定だけでなくシナリオの進むテンポも同様です。

 

スピーディーに進むテンポの良さこそこの漫画の魅力でしょう。謎や伏線で読者を引っ張り、リズミカルに展開して明かされる。もちろん伏線を張って数ヶ月・数年先に明らかになる回収も素晴らしいけどね。

 

2巻なんか本物アサとの再会引っ張っていくんだろうなーって構えてたらすぐ再会ですもん。良いね。読者が望むことが起きる。読んでて気持ち良い。それでいて無駄話など一切無い濃さ。尻尾までアンコが詰まったたい焼きのようなものです。

「ツガイ」を率いる能力バトル

2話

 

『黄泉のツガイ』のタイトルにある「ツガイ」を従える能力バトル漫画です。「左(女)」「右(男)」と2体がユルが主となり従える「ツガイ」なり。

 

「幽霊」「妖怪」「化け物」「UMA」「異形」「対なるもの」。まぁ見る人によっていろいろ呼ばれてて統一されてないけど。ユル、コイツらがお前の「ツガイ」だ(1話)

 

『金色のガッシュ』の魔界の子、『Fate』のサーヴァントのような感じです。「ツガイ」なので2体います。1人に対して強い人外強者を2体も従えてるって設定です(中には1体しか従えていないように見えるのもいる)。

 

そして「ツガイ使い」は沢山いる。1人に強者人外が1体いるだけもスゴイのに1人につき2体いるとかクッソ面倒な設定にするとか流石は荒川先生である(賛辞)。

 

そういえばユルの「ツガイ」は最初から「左右様」と名前付きだったのは気になる。「ツガイ」というのは主が名前をつけずモノ扱いで使役するパターンや、主が名前を付けて愛情持って使役するパターンの2種類あるけど、ツガイの名前は現主が付けるのがデフォ。

 

ユル「えーと…左右様個別にはなんて呼べばいい?」

右「好きに呼べ。新しい名をつけてもいいぞ」(3話)

 

わざわざ「新しい名」をつけてもいいと今の主であるユルに言ってるのを察するに「主」が名付けるシステムはあるけど、「左右」というのは前の主が付けた可能性が微レ存。

 

しかもこの名は、結界内の村だけでなく下界(外の世界)の人にも浸透してる。というか約400年振りに会った野良(?)「ツガイ(オシラ様)」からの「左右さん」と呼ばれてました。まあ、「オシラ様(東北地方で信仰されている神)」がそのまんまなので何ともだけど。

 

「左」「右」のツガイは前主が付けた名前なのか?

朝と夜の双子は天下を割る

東の村で夜と昼が等しい日に、日の出を境に生まれた男女の双子。それが産まれた時代は世が割れる。わしらの知る限りではおぬしらを除いて一番新しいのが約四百年前。あの村でやはり夜と昼を分かつ双子が産まれた。その時代に国が東西に分かれて大戦があった。さらにその昔は南北に分かれて戦っていた時代があった。どちらも裏でツガイ近いたちが関わっておった(4話)

 

アサよユルの双子は天下を割る!?

この双子はそれぞれ「解」「封」の力を持つそうな。

 

昼と夜が等しい日ってのは「春分の日(3月20日か3月21日)」「秋分の日(9月22日か9月23日)」ということか。1話1ページ目の作中でアサ&ユルが生まれる瞬間から、半袖(着物捲り)なので秋分の日(9月22日か9月23日)っぽいかな。3月はまだ肌寒いので半袖は無い。9月はほぼ夏。

 

で、語られた天下を割った事例は「関ヶ原の合戦」「南北朝時代」でしょう。

 

  • 関ヶ原の合戦…1600年
  • 南北朝時代…1337年~1392年

 

ちなみに「昼と夜を分かつ双子」を利用する者たちで争われてたそうな。つまり、天下が割れたの昼夜を分かつは男女双子を担いだからだと。スケールでけー!

 

しかし解せないのは「解」と「封」がぶつかったらどうなるか?矛盾になるってやり取りでしょう。

 

・矛盾だねぇ

・過去にその両方を手に入れた奴はいるのか?(4話)

 

この台詞なんかおかしくねーか?

 

「解」と「封」がぶつかったらどうなるって聞かれて「矛盾」と盾と矛みたいに言ってるけど、「南北朝時代(勝者は北というか足利)」「関ヶ原(勝者は東の徳川)」にしても分かれて戦ったんだよね?矛盾じゃなく戦ってるんじゃないの?

 

それでいて「過去にその両方を手に入れた奴はいるのか?」っておかしいだろ。分かれてたならぶつかってるはずである。それを「矛盾だねぇ」と抜かして、両者が一緒だった過去を聞くのは違和感しかない。

 

「解」と「封」がぶつかったアンサーじゃない。ぶつかった事を左右様に尋ねるでもなく、共闘したことを聞いてる。なにこれ?巧妙に話逸らしてるの?分からない。

 

そもそもデラさん(田寺家)は敵なの?味方なの?2巻まで読んだ段階だと影森家の方がジャスティスありそうなんだけど…。

 

ま、最も引っかかるのは1話1ページ目の双子は「ツガイを統べる者」って言葉でしょう。アサはチート能力でツガイを統べる力はありそう。主人公である兄ユルも同等の能力があるのでしょうか。私気になります!

良い意味で「ぬるい」

バンバン人が死ぬ(チョンパ)されるし、冷静になればヘビーな設定てんこ盛りなんだけど、ライトに楽しめるノリなのも老若男女に受け入れやすい。

 

『鋼の錬金術師』のような重くシリアス全振りでもなく、『RAIDEN-18』のようなはっちゃたものでもなく、絶妙なシリアスとギャグの塩梅となってて胸焼けすることなくカラッと読めて、かといってきちんとした真面目な設定・物語となってる。

 

6話

 

荒川弘 is 天才!!

 

そう絶賛してしまうぐらいに大真面目なシリアス展開の中で読者を笑わせるギャグを随所にぶっ込んでくる。

 

ストーリーのテンポを悪くすることなく、唐突すぎげ寒くなることなく、あくまで本編のストーリーに沿ってて無駄なくギャグを挟む。天才だったか…と絶賛するぐらい絶妙。

 

ビターコーヒーなのにしっかり甘味がある芸術的な味わいなのです。漫画界広しといえでも、こんな芸風は荒川先生しかできませんよ。

 

ずっとこの大真面目なんだけど「おかしさ」があるので、重すぎて胸やけすることなく、素直にギャグ描写に笑える。それでいて本筋のシリアス展開を外さない。天才としか形容できな笑いと真面目を提供する強弱っぷり。

妹萌え漫画だった件

6話

 

「ぎゅってしていい!?」

 

本物妹アサの可愛さがヤバイのである。隙あらば「ぎゅってしていい?」と聞いてくるのである。本院は距離感が分からないと言いつつ(生き別れの兄様だしね)、何度も何度も「ぎゅってしていい?」と尋ねるのです。

 

距離感分からない!

でも「ぎゅっ」としたいという不屈の兄大好き妹魂がそこにはあったのである。

 

隙あらば「ぎゅってしていい?」と語尾につけて聞くのです。全世界のお兄ちゃんのハートを鷲掴みにしたのは言うまでもありません。

 

 

実妹アサは天下一品の名妹なんです!

 

あまりにも兄様大好きな言動の数々は、歴戦の「お兄ちゃん」に白旗を上げさせること間違いなし。荒川弘先生の新局地は「妹萌え」なのだ!

 

いまのところ令和を代表する名妹となったのがアサです。どんだけ兄様好きなのと。最初は敵キャラとして登場したのにファインプレー連発しすぎだろと。

 

『黄泉のツガイ』は令和の妹萌え漫画!はっきり分かんだよね!

 

それほどまでに実妹アサの可愛さがギュギュっと濃縮してるわけですよ。あと眼帯の理由とお兄ちゃんにウソつけない思想は素直に実妹ハァハァです。その新事実は…?

 

えええぇぇぇぇ!?

 

ですよ。「明かされる設定・伏線」「次に明かされる新事実」の連続に驚き、納得し、めちゃくちゃ面白いって感想しかない。

義妹アサ(?)も侮れない

本当の妹だったアサにペロペロしつつ、我々「歴代のお兄ちゃん」は忘れちゃいけない存在がいるのが妹アサじゃなかった方の成済ましアサ(偽)である。

 

2話

 

はい!可愛い!

 

この10年ぐらい妹アサと騙してた子は作られた無生物の人形とかでなく、口の左下にホクロがある実在してる人間っぽい(ツガイ使い)。1~2話まで見れば明らかだが演じる役者に留まらず、ウソである妹でもユルに想うところがありそうである。巨大感情ある。

 

偽妹アサは上玉!はっきり分かんだよね!

殺し合ったガブちゃん

8話

 

ガブちゃんも侮れん「可愛い力(ぢから)」を持ってる。1話から主人公ユルと殺し合いをして、大けがを負った天敵なんだが、見方によってはフラグビンビンなのよね。

 

なんたって、ガブちゃんの穴を貫通させまくったはじめての人ですからね。姉を開けたはじめての人。卑猥である。

 

出会い方最悪からはじまるのはラブコメ漫画の王道でもある。あ、ちなみに2巻まででラブコメ要素は微塵も無い作品です。

三大ヒロインが完成してる件

そんなこんなで「本物の妹」「フリをしてた偽妹」「殺し合ったガブちゃん」と2巻までで、3人のヒロインがいる。ラブコメ手法にも定評のある荒川先生なので、ニヤリング満載を期待するのは読者ののサガである。

 

ま、どの子もラブコメ的な甘さが微塵も感じられないのは玉に致命傷ではあるが…。

 

ま、ラブコメニスト(ラブコメ大好きな者の意)がカブちゃんが心の琴線に刺さるかなと。見方によっては「大っ嫌い」→「気になる」→「好き」ってコースに見えなくもない。知らんけど。

名作確定

そんなこんなで『黄泉のツガイ』のレビューでした。

 

伏線・設定の引っ張りで展開させて、すぐに真相が明かされるテンポの良さが素晴らしい。その展開が芸術的なまでに読みやすいのです。深読み・裏読みしつつ、単純に本編だけで面白さ100%!あと妹漫画としても逸材である。

 

特にマジ妹アサの眼帯についてのアレコレはすっげー吸引力だよね。普通に面白いのは当然として令和ナンバーの妹漫画です(きっぱり)。

 

 

 

 

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ヤマカム

コメント

  1. スラッシュ より:

    百姓貴族読むと荒川弘にも妹いるのが分かる

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