『湯神くんには友達がいない』堂々の完結！月がとても綺麗な物語でした…

『湯神くんには友達がいない』

最終話：湯神くんには友達がいない？

 

『湯神くんには友達がいない』の特徴といえば高度なラブコメオフサイドトラップが特徴でもあった。ラブがコメりそうな展開になろうとも肩透かしを食らったことは枚挙にいとまがない。

 

私自身、ラブコメ展開キター！って盛り上がったら壮絶にずっこけたものだもん。まあ後半からは砂糖を入れるようになっていましたがあくまでも微糖でした。もっとジャンジャン砂糖入れてくれって思ったものです。

最終話：湯神くんには友達がいない？

で、卒業式ではスイーツを食べられるだろうと期待してたのに…。

とくに告白とかすることもなかった。良い話でグッときたがあれはベストではない。

 

まさか寸止めラブコメで終わってしまうのか…？そんな不安がありました。だけど！高校卒業後の最終回は期待通り…いや期待以上だったね。あくまでも微糖の範囲で実にこの漫画らしいんだけど、最高オブ最高でした。

運命でない再開だー

湯神くん！？

 

なんだこの感動的でもなければ微塵もドラマチックでない再会は…。たまげたなぁ…。卒業後、ちっひーは湯神くんの試合の応援に行っても会ったわけではない。野球部を辞めた湯神くんとは音信不通。

 

湯神くんの現状を儚げなモノローグしといて、ピザ頼んだら宅配のバイトしてた湯神くんとあっさり塩味の再会です。普通さ、『君の名は』のラストみたいに運命の奇跡で再会するってのがドラマじゃないですか。なにこの再会…実にこの漫画らしい（誉め言葉）。

 

まあ、裏を返せば連絡手段無い状態からこの後に平楽の落語を誘われるってことは、湯神くんにとっては運命の再会で家の近くにずっといたストーカーみたいな状況で張ってたのでしょうが…。

 

ちっひーが高校時代に比べて髪の毛短くなってるのは卒業式で告白できず失恋したからって髪の毛切ったと妄想するとよりうま味があります。絶対違うだろうけどな。

相変わらずのオフサイドトラップ

んぁ！？

 

上げてー！上げてー！やっぱり落とす。

これぞ『湯神くんには友達がいない』の様式美なり。

 

なぜか平楽の落語にいつも誘われるようになり、実質デートをしていて、ちっひーが唯一の友達だと気づいたんだって流れ…からのずっこける展開よ。ブレずに曲げずにラブコメに見せかけて「残念！全然違いました！」をぶっこんでくる。

 

『湯神くんには友達がいない』は最後までこれだ。

高校卒業して大学生になっても変わらぬ伝統の味。湯神くんも友達を作りたいといか言っといて宇宙人とか荒唐無稽な話なんだもん。まさか宇宙人と友達になりたいからって宇宙飛行士目指すなんて…。湯神くんは最後まで恐ろしいヤツだった。

 

だ・け・ど！

ここで前述した通り「けど」なんだよな。

 

別に宇宙飛行士目指して宇宙人と友達になりたいのは湯神くんらしいし別に「あ、はい…」って感じなんですが、頼れるべきgoogle翻訳でロシア語を勉強してる湯神くんの言葉を翻訳して意味合いを調べてみれば、全てが分かるってものです。

 

トゥイ ムノガ ズナーチショ ドゥリャ ミニャ

 

ちっひーはポカーンとしてるが、これ直訳では「私にとってあなたはとても大切な人です」という意味合いだそうです。ただし、友達に使う言葉でなく、鉄板ともいえる愛の告白のようなものらしい。つまり…そういうことです。

 

「can't take my eyes off you」を「あなたの瞳から私は目が離せない」なんて訳すでなく「君の瞳に恋してる」みたいなシャレが効いてるみたいな。そのまんまの意味以上のものがあると。

湯神くんのやる事は意味がある

湯神くんに行動は無駄がない

 

…そう、湯神くんのやる事にはだいたい意味がある。

 

大学で野球部を辞めてしまったのは宇宙人と友達になるために宇宙飛行士を目指すから。野球をやったのは体力、寮に入ったのは集団生活の予行演習で企業へのアプローチにもなる。

 

すべての行動原理は宇宙飛行士に繋がってたと納得のちっひー。

ちっひーを平楽落語に誘うのも意味があるのか考え、実際に意味がありました。卒業間近に平楽さんに会って湯神の話を落語の登場人物にしてたのを一緒にいたちっひーに聞かせるためでした。湯神くんが主人公の落語を聞かせる…。

 

そっか…湯神くん…

この噺、私に聴かせたかったんだ…

 

ちっひー的に謎は全て解けた。

やっぱり湯神くんは変わらず友達すら無駄だと断言する合理的な人間でした。納得してしまった湯神くんから誘われる落語デートの真相。

 

察したちっひーのモノローグが…少し切ない…。

ちっひーは「なにか」に気づいた

気づいてしまったか…

 

湯神くんが主人公の噺が聴けるまで数年越し計画だったことを知って、呆れたちっひーでしたが自分の中にある感情の「なにか」に気づいてしまった。

 

「そんな長期戦で考えてたの？だったら―」

（ずっと聴けなくてもよかったのに）

（そうだ会う意味がなくなっちゃった…）

（あれ…）

（私…）

 

そう。もう湯神くんと平楽落語へ行く意味がなくなってしまったのです。そこで本人気づいてなかった本音部分「ずっと聴けなくてもよかった（意訳：ずっと湯神くんとデートしたかった）」「会う意味なくなちゃった（意訳：もう会えない）」「あれ…私…（意訳：湯神くんが好きだった）」という超絶ニヤリングコンボです。

 

友達では決してない2人の奇妙で不思議な関係が終わろうって時に気づいたちっひーのモノローグは自然と頬が緩んでしまいましたね。

 

なんたって湯神くんは目的を果たしたのに、次の平楽落語を誘うんだもん。

最後までちっひーとの関係は「友達ではない」と言い切ってたのに…。

言葉にしないなら読者が訳そうホトトギス

じれって～

 

…湯神くんのする事には意味がある。

…これにはどういう意味がるんだろう。

 

平楽の落語へ誘う目的は果たしたのにまた次も誘われる。湯神くんはとってつけたような言い訳してるけど無理があるよね。その誘い文句は不自然すぎる。ちっひーすら「なんで？」と思ってるもん。友達だから？って聞いても「友達」ではないってきっぱり否定。じゃあ何で？

 

前述した「けど」のすべてがあったわ。

湯神くんの行動は意味があって無駄がない。

 

 

自分が主人公の噺を聞かせるって目的を果たしたのに、ちっひーとデートの約束をする。「これにはどういう意味がるんだろう」って…そんなん決まってんでしょーが！ちゃんと意味あるよ。

 

「トゥイ ムノガ ズナーチショ ドゥリャ ミニャ」だよ。

湯神くんにとって綿貫ちひろが大切な人だからです。

本当にありがとうございました。

 

まったく世話が焼ける2人だよ。清く正しくサンデーラブコメ王道だよ。あだち充＆高橋留美子作品のラストだよ。言わない！描かない！だけど読者の誰もが分かる。「こいつら結ばれるな」「結婚するな」と。

 

仕方ないので読者が翻訳してあげよう。

 

 

月が綺麗ですね

 

 

2人が次のデートの約束を交わした時の月が美しい満月だった。

湯神＆ちっひーの心の内を代弁してるかのようでした。

 

「I LOVE YOU」なんて台詞が言えない湯神とちっひーだからこそ月がとても綺麗だった。それで伝わる（読者には）。ありがとう♪さようなら♪ともだち…ではない2人。友達じゃなきゃそれ以上の…言葉にするのも野暮か…。

 

湯神くんには友達がいない「けど」月が綺麗だった。

無料で読めます

ちなみにサンデー公式アプリ「サンデーうぇぶり」なら基本無料で読めます。

 

23時間回復チケットに加えてコインを購入すればお得に一気に読めます。サンデー本誌もリーズナブルに購読できます。

 

 

他に多数の新旧のサンデー名作が無料で読むことができます。

無料ですので通学や通勤のお供に是非アプリを入れてみてください。