『SPY×FAMILY』(遠藤達哉)1巻が発売されました。
ジャンプ+で連載しております。これはもうどちゃくそ面白いですね!
名門校潜入のために「家族」を作れと命じられた凄腕スパイの〈黄昏〉。だが、彼が出会った“娘”は心を読む超能力者! “妻”は暗殺者で!? 互いに正体を隠した仮初め家族が、受験と世界の危機に立ち向かう痛快ホームコメディ!!
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『SPY×FAMILY』
簡単に説明すれば赤の他人3人が家族をやるって作品です。古くは「家族計画」など名作率が高いキャッチーなこの設定ですが、『SPY×FAMILY』も名作になる予感がプンプンします。
口上はこうだ。
人はみな誰にも見せぬ自分を持っている
友人にも恋人にも家族にも
張り付けた笑顔や去勢で本音を隠し、そうやって世界は―
かりそめの平穏を取り繕っている
かりそめの平穏を装った疑似家族である。
スパイ行為のために名門校へ潜入しなくてはいけなくなった主人公が、娘と嫁をこさえて娘を名門校へ入学させるって設定のドタバタ家族コメディ。コメディとしても序盤からずーっと面白いのもすごい。笑っちゃう。
すべてがおもろい
3話
父、スパイ。
母、殺し屋。
娘、超能力者。
設定がもう最高。西国(ウェスタリス)のスパイである主人公<黄昏>は、東国(オスタニア)の要人に近付くため疑似家族を作る。孤児院で引き取った超能力者のアーニャ。嫁は表向きは公務員で本当は暗殺者のヨルさん。
こんな赤の他人3人で疑似家族をするわけですが、見てて温まる「家族系」の醍醐味をギュッギュッと濃縮してるのを軸に、ドタバタコメディで笑わせ、かっちょいいアクションで決め、アーニャもヨルさんも可愛いと思わせる隙のない完璧な布陣。隙はないけど好きすぎるわ。
絵良し。娘良し。嫁良し。設定良し。伏線良し。テンポ良し。アクション良し。ストーリー良し。お約束良し。心の琴線を鷲掴みにされてしまいます。超お勧めです。
父<黄昏(誰そ彼)>
黄昏
この漫画のキモは冒頭「かりそめの平穏を取り繕っている」に尽きる。3人とも裏や正体があるけど、それをひた隠しにして家族を装っています。
父役ロイド・フォージャーは仮名。名を捨てたコードネーム<黄昏>の意味は「誰そ彼」… つまり自分が無い。スパイになってから自分を全て捨てたったモノローグを差し込むも、全然捨ててない己の軸があるのが特徴的であり熱い部分でもある。
子供が泣かない世界、それを作りたくてオレはスパイになったんだ
<黄昏>は全てを捨てたと語るも、根っこは捨ててない。どうやら戦争孤児のようで(これが西国の過去なのか不明)幼少期の自分が泣きまくったトラウマのせいで子供が泣くことが絶対に許せない。冷静で冷酷で理に叶った行動するだけでない。
そもそも所属している西国上層部の言う通り戦争を起こさないため…平和のために動いてるがそれが正しいかも現時点で不明。「すべてはよりよき世界のため」って黄昏れてる<黄昏>であるが、雇用主の西国が氏の正義通りなのか気になるところ。
本名とスパイを隠して「ロイド・フォージャー」として父を演じる<黄昏>がこの疑似家族を通してどうなっていくのかってのもポイントかなと。
母<いばら姫>
ヨルさん
母役のヨルさんは東国の殺し屋。コードネーム<いばら姫>。戸籍もあるし弟もいるので、「ヨル」は本名でいいのかな。彼女は幼少期に両親を亡くし、年の離れた弟を養うために子供の頃から殺人術を叩き込まれ殺し屋として仕事をしています。
所属する東国に仇なすものを抹殺するのがヨルさんの裏の顔。売国奴を暗殺するなど所属している西国のために働く。「殺し屋」を隠して疑似家族して母を演じるヨルさんが疑似家族をしてどう変わるのか…よりも設定がきな臭い。
というのも西国(ウェスタリス)と東国(オスタニア)は敵対してる。表沙汰にならないようにお互いが裏で動いてる。<黄昏>は西国のためにスパイして東国を貶め、ヨルさんは東国のために西国に与するものを暗殺する。
お互いが敵国の重要人物だと知らないのもミソでもある。
この夫婦は所属してる国が敵対して自国の暗部を担う同士なのです。
これ、いつか絶対に相手をどうのこうのしろって指令がくだることでしょう。<黄昏><いばら姫>に相手を貶めろとか消せとか殺せって国の命令が将来確実にあると思われる。その時、どうする!?って思うとヤバイね。
娘「アーニャ」
少女は超能力者だった
そして娘役のアーニャも意味深だ。人の心を読める超能力者です。その能力を使って<黄昏>の娘になったのですが、彼女の背景も謎が多い。実の母親の記憶があるのか(そもそもいるのかもも不明)、面接で前の母を聞かれたら泣いてしまったのが引っかかる。なにがあったんや?
そもそも、アーニャは名前以外はすべてが偽りでできてる。年齢を6歳とウソこいて能力で<黄昏>の娘になりました。<黄昏>は任務のために、あえてアングラな施設で子供を見つけたので、出生もなんもない。アーニャはちゃんとした東国の戸籍があるか不明。
作中では「非験体007」「とある組織に偶然生み出されのち施設を逃亡」という説明のみ。つまり、東国人なのか西国人なのかも分からんのである。里親が引き取るのに書面すらいらんザルなアングラ施設を転々としていた少女。
アーニャの過去
アーニャが超能力者「非験体007」としていた場所では、「おまえの力は世界の平和に役立てなくて」と言われていた。この「世界の平和のため」云々って言い回しは父役<黄昏>の西国的が指令を下すそのものでもある。アーニャは元は西国人だったのかにゃ?
まあどっちの国所属なのか知らんが、西国だろうと東国だろうと逃亡した「非験体007」なので、将来的に正体バレたら大変なことになるのは明白である。西国の<黄昏>、東国の<いばら姫>…父や母から命を狙われるなんて展開もあることだろう。むしろそれは文脈的に確実。その時、父と母はどうするってのも気になる。
この3人の家族は、父と母がお互いに殺しあうバックボーンがあって隠してる。娘のアーニャを消せ言われてしまうような火薬庫の設定がある。ヘビーなんだけどそれを感じさせない、おかしくもぬくもりある家族やってるのが最高なんだ。
いつか来るだろう指令でどうなっちゃうんや!
とっても素敵な家族
あななたたちとっても素敵な家族ね
この手のテーマは本当の家族になるのがゴールでしょう。「人はひとりで生きる」「人はひとりでは生きていけない」の相克はドラマチックに話を盛り上げるための規定路線でもありますしおすし。
「家族」が主題でも3人はおよそ家族から最も遠い寄せ集め。それぞれの事情に必要だから擬似家族をしようとする。もしも、東国や西国の任務のために行動しちゃうと、それは決して「めでたしめでたし」ではない。
とにかく重い未来しか見えない背景をからっとライトに明るく面白く描くのが凄まじい。本当の家族とは何か。「血縁」か「カタチ」なのか。何かが欠けている「ひとりぼっち」の3人がどうなるのか要注目です。めちゃお勧め!
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コメント
3人とも優しいんだよなあ
いつか来る修羅場も、きっと乗り越えて
本当の家族ななる日が来るはず!
遠藤先生いつの間にか新連載してたのか、迂闊だった
前の連載2作も読み切りも大好きだったので知ることができて良かった
これ面白いよね
家族計画に反応できる読者も少なそうw
青葉が好きでした
家族計画を終了して本当の家族になる大団円ですね、わかります。
ジャンププラスで人気ランキングを駆け上がった怪物ですね
今は日常の家族描写を丁寧に展開してるだけでも超おもしろい
娘が心の読める超能力者ってのが絶妙なんだよな
心が読めるから両親の事情も全て知っており、影から手助けができる。でも幼いから両親がやってることにピンと来てないように感じる。今はスパイや殺し屋という言葉の響きからワクワクしてるけど、両親のやってることは決して綺麗ごとじゃない。
特に母親が実際に人を殺してる所を見たらどうなるか。気になります。
あの地獄楽を抑えるスゲえ奴。これだけ面白くて嫌味がないのも凄い。
サマータイムレンダも取り上げてください
遠藤先生、ついにブレイクか〜。
まさに全てが面白いと言える最高の作品
これは面白そう
読んでみます
コミック発売日に買いそびれたら、どこ行っても売り切れで、今日やっとゲットできました
週刊少年ジャンプ掲載第一話で、この家族が自分達が仮面家族で有る事を承知で周りには仲の良い家族を演じているというのをセリフと一コマで表現してたのが良かった
そのうえでお互いの素性を隠しているのもよかった
ヨルが所属しているのは東国なので「西国のために働く」ではなく「東国のために働く」ではないでしょうか