「ラスボスは君か僕」(1巻オビ)
「人は絶対に変われない」(2巻オビ)
なんというストーリー回し。
「インスタントバレット」がヤバイ。面白かったです。
厨二病的なよくある能力バトルものかと思って読み進めたら二転三転するシナリオ展開に圧倒されるばかりでした。読後の感想は「続きが気になる」の一言だろう。圧巻のストーリー回しでありました。「金色のガッシュ」「Fate」「未来日記」同様の選ばれし者のバトルロワイヤル漫画ではある。
だが、この発想はなかったかなという展開と設定でしょうかね。もしドラクエやFFのような魔法が使えたらどうしますかね?僕ならレムオルを使って女風呂を覗きたいですね。しかし、全員頭のネジが飛んでる異常者が魔法を使えたら…例えばそんなメルヘン。
おすすめ漫画『ib』
この世界のすべては敵だ。
周囲から疎まれ、孤立している深瀬クロはクリスマスイブの夜に魔法使いを名乗る少女・セラと出会う。セラの魔法が「見えた」クロは彼女に誘われ、街なかに現れた化け物を協力して退治することになる。しかしその化け物の正体はクロと関係があり…。
――これは、まもなく壊れる世界の追憶。
1巻裏表紙より。
今なら無料で1~3話が丸々読めるのでとりあえず読んでみて下さい。1話だけで「お?」というどんでん返しが炸裂である。圧巻のシナリオ回しがご理解頂けるでしょう。
主人公の深瀬クロは、友達いない喧嘩ばかりするヤンキーでオタクである。「この世界は敵だらけだ」「こんな世界とっとと終わればいい」などと思う少年である。そんな彼がクリスマスで同じくボッチの1人の少女・セラと出会う。出会いは一匹の怪物を倒す為…。
出会った
セラは「私たちは運命に選ばれたんだよ!」と述べる。
それはクロとセラにしか怪物が見えないからである。
ついでにセラの持つ爆弾も2人にしか見えない。
選ばれた者にしか見えない物体と生物。しかも、怪物はそこら辺のものを破壊していく。セラは「見つけた、私の敵」と歓喜に震えるのであった。
なぜなら彼女は正義のヒーローに憧れていたから。そして、2人にしか見えない怪物を倒す為に、孤独だった少年は少女の手を取るのである。
行こ?世界を救いに…だよ
1話で彼女の手を取ったクロ。
世界は敵だらけで滅んでしまえばいいとすら思ってた少年クロは、セラの伸ばした手を取ったのである。2人にか見えない怪物を倒すのであった。
私は世界に反骨心を抱く孤独な少年が少女に手を取られ、一緒に怪物を倒すのを見て、「インスタントバレット」という漫画は王道少年漫画なのだと思ったものです。
だって、ぼっちな少年が仲間を得たような王道展開のオンパレードなんですもん。
魔法のような能力「ib-インスタントバレット-」という特殊能力に目覚めし少年少女の物語である。
よくあるじゃないですか。世界に絶望した少年が運命の出会いをして正義に目覚めるっていうのは。だから私もそういう漫画なのだと思ったものです。
正義のヒーローになりたいセラと、それに引っ張られ世界を救う主人公。ほう王道バトル漫画なのか、と。ところがどっこい、クロとセラ2人が協力してやっとこさ倒した怪物というものの正体がクロの能力のよって生まれたものだったのである。
やっとこさ倒した怪物の正体は…!?
彼女の「力」が爆弾であるように
僕の「力」はこれなんだろう
僕の最悪な願いの形
セラ、僕はキミの敵だ
1話「悪者とヒーロー」。
怪物はクロが召喚ししていたのであった。
つまり、主人公クロが悪者の方でだったのである。セラと一緒に怪物を倒してハッピーエンド、これから2人で世界を救う物語が開始されるかと思いきや、主人公が破壊する怪物を召喚していた悪者であったでござるの巻きですよ。
なるほどねぇ、主人公クロはダークヒーローなのか、と。正義の味方でなくラスボスなのか、と。1話でいきなりの大どんでん返しである。その後も読めば読む程、正義の味方とは程遠い言動を繰り返すクロ。
主人公が「悪者」であった
「僕は君の悪意(ねがい)を引き継ぐよ」
「君が絶望した、この世界は僕が全部壊すから」
「インスタントバレット」は主人公がこの世界を壊す悪者なのである。
この友達居なく孤独で過去にトラウマがあり、もはやとっくに世界に絶望し滅んでしまえばいいとすら思った主人公・クロは魔法のような能力に目覚め、世界を滅ぼす事を決意したのである。そして世界を救いたいと願うヒロイン・セラとのボーイミーツガール的な展開になると思ったものです。
だがしかーし!
「インスタントバレット」の面白いとこところはどんでん返しなのである。
読み進めれば読み進める程、「なんだってー!?」と思わせる展開こそがキモである。1~3話を読むと、世界を救いたいヒロイン・セラと、世界をぶっ壊したい主人公・クロの物語を予感させてくれます。
ところがねぇ、この漫画の凄いところは正義の味方なんていないところである。ヒロイン・セラが正義の味方で主人公・クロが悪者という構図で描かれて、そこからまら大どんでん返しが起こるのだ。
(以降4話からのネタバレ全開なので自己責任でお願いします)
「この街に核を積んだ人口衛星が落ちてくる」
この世界は滅んでいい、むしろ自分が滅ぼしてやると心に決めていたクロ。
自分が世界を滅ぼすから、だから、誰かが落とす核を積んだ人工衛星を止めるのである。
まるで正義のヒーローのような行動をして、墜落する人工衛星を食い止めてしまった。理不尽そのものの、滅んだっていいこの世界を救ってしまった。
理由は単純明快、自分が滅ぼすから。で、核を積んだ人工衛星を落とした犯人がね、なかなかどうしてよ。
あの衛星を落としたのは私で、悪者は私みたいな感じじゃない
あれ?正義のヒロインかと思ったセラが黒いぞ…。
「ラスボスは君か僕」のオビが響くね。1話でクロの手を引っ張り、正義の味方に憧れていたと言っていたセラ。この世に絶望した主人公を引っ張る導き手として活躍するように描かれてたのに。
眩しいぐらいに輝いていたのに。英雄、正義の味方、世界を救うと目をキラキラさせてたのに。実はセラも頭のネジはクロ同様にぶっ飛んでいた異常者だったのである。
それもそのはず。
だって「ib-インスタントバレット-」という魔法のような能力はある条件下で選ばれたものにだけ備わる能力なのである。
この力を授かる者には、共通した源がある。それが、失望、恐怖、絶望、醜悪、孤立、軽蔑、孤独、嫌悪、不安、無力、嫉妬、不審…その果てにあるもの、破壊願望。世界に悪意を抱く者にだけに目覚めし能力なのであります。
家族や過去や生い立ち…この世界を恨んでいる者にのみ与えられた能力。能力者には誰も友達とかそういう温かいものなど理解できない。
温かさって何ですか?人を傷つける事を何とも思わない。だからインスタントバレットに目覚めし者はすべからく全員が頭のネジがどこかぶっ飛んでいる孤独な者なのである。闇やトラウマを持った、世界を恨む者にのみ与えられし能力。
インスタントバレットに目覚めし者
家族…なにそれ食えんの?
友達…いたことないので分かりません。
温かさ…意味不明ですね。
過去…思い出すとゲロ吐きますね。
現実…クソゲー。滅んじゃえば?
そんな者達…。
インスタントバレット、この世を滅ぼす事すらできる魔法のような超特殊能力。現実や世界を恨む1人ぼっちの20人がインスタントバレットという特殊能力に目覚めたのである。何しますか?もちろん決まってますよね。この世界を滅ぼします。
100年後の地球は滅んでいました。
人間は誰も生きていません。
それはインスタントバレットの魔法によって引き起こされた結末だそうです。
めでたい話じゃねーか!
人類滅亡?地球が滅ぶ?大歓迎だ!
だけど、それは俺&私がやる。邪魔すんな!
この世界に絶望した20人のバトルロワイヤルが開始されたのである。全員いい感じに狂ってる。正義の味方がいねぇ!
2巻まで一気に読破してしまいました。
ストーリー回しが本当に上手いと感じましたね。
どんでん返しの連続でページをめくるのが止められない止まらないのかっぱえびせん状態。え、これ続きどうなるのという単純な好奇心を湧きたてます。また、1人1人のキャラがなかなかどうしてよ。
キャラ立っとるのぉ
魅力的なキャラ勢揃いである。
だって、こいつら全員頭イカれてるからね。
世界をぶっ壊そうとしてるからね。そういう行動理念を説得力ある過去の回想を上手に挟んで納得させてくれます。
破壊願望、インスタントバレットに目覚めるには壮絶な出来事があるわけで。過去の回想がエゲツナイわけで、こういう理由でインスタントバレットになったのかと思うと色々とアレですわ。
といっても「インスタントバレット」は全員が異常者のバトルロワイヤルなんだけど、それだけに収まらず、主人公クロがきちんと正義の味方のような王道展開をかますのである。
ある意味、少年漫画のような王道を突っ走りカタルシスを味わう気持ちよさすらある。
行動理念は俺が世界を滅ぼすからというものだけど。
2巻まで読みましたが本当に続きが気になるの一言。
今後どうなるねんというワクワク感が半端じゃないっすわ。
また気になるのは1話1ページ目の冒頭のシーンでしょう。
1話1ページ目の冒頭
かくして僕は世界の完全破壊に成功したなんて吐き捨てるのは簡単だけどそれはヒーローと敵と使い捨ての僕らの戦いの話だ
1話1ページ目の冒頭。
そこは世界を完全破壊したと述べられ、崩壊した世界でセラとタイマン対決(?)をしているシーンである。
この冒頭のシーンに今後繋がっていくのでしょうかね。
非常に今後の展開に期待である。「インスタントバレット」面白かったです。お勧めです。
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