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『鏡が来た』『高橋留美子劇場』、高橋留美子先生の短編は芸術!

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鏡が来た 高橋留美子短編集 (ビッグコミックススペシャル) 高橋留美子劇場 4 運命の鳥 (ビッグコミックス)

るーみっくワールドの決定版『鏡が来た』、高橋留美子先生の傑作ホームコメディシリーズ『高橋留美子劇場』4巻を読了。うむ、非常に面白かったです。

高橋留美子先生は短編を青年誌で載せる(サンデー掲載のもあるが)ので、『境界のRINNE』よりも大人向けの作品が多かったです。

傑作集の再録ですけど『高橋留美子劇場』シリーズは、基本的に「家族」を一つのテーマにしている(と思う)ので、主人公も中年のおっさんか奥さんがメイン。特殊能力とか無いし、本当にどこでにでもいそうな「普通の」おっさん&おばさん。普通の人のエピソードで、どこか温かくやさしい話が多くて好きです。

4巻目の今作は、「ボジティブ・クッキング」「年甲斐もなく」「運命の鳥」「しあわせリスト」「隣家の悩み」「事件の現場」の6本が収録。どの話も特別盛り上がるとかではなく淡々とする中で幸せを実感させる温かい作品ばかり。

珠玉の短編集なり

表題作の「運命の鳥」は、普通のおっさんではなく、このシリーズでは珍しい特殊能力の持ち主。人の不幸が見えてしまう(鳥として)体質のおっさんが喫茶店を経営しながら客に取りついてる運命の鳥を眺める…というもの。

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過去を振り返りながら、不幸を呼ぶ運命の鳥がついてる客の未来を憂う。面白いのは、他人の不幸が鳥として見えるんだけど、おっさんは特に何もしないというか見てるだけだったところかな。

実際に、不幸にする鳥はその人だけの問題なのか…っていうね。内定取り消された彼氏にイケメンだから俳優になればいいんじゃない?と、そそのかす女性のエピソードは皮肉が効いてたのが良かった。

最初は主人公のおっさんは不幸を呼ぶ鳥が女性についててダメ男に騙されているのではないかと思うも、実際は内定取り消された彼氏が女の「(俳優に)絶対になれるって。かっこいいもん。」という煽りが原因だったという。オチまで含めて哲学的で深い。

「事件の現場」は中年男性(40)の家族のエピソード。妻(39)母(65)息子(高1)で嫁姑関係も良好でおおむね平和な家族生活をする中で、姉(41)が実家に帰ってきてしばらく生活するという話。平和だった日常が、元々実家に住んでた姉と嫁の間で何やらキナ臭くなっていく…。

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嫁に行ってから実家でしばらく暮らす事になった姉。朝食がご飯でなくパンに変わってる事、味噌汁の具がワカメだけで豆腐が入ってなかった事…タバコ事件…など嫁と姉の間が何やら色々とキナ臭いことに。

それを見てるだけでハラハラしまくる中年男。ラストも含めて、家族とか変わっていく家とか巣立った兄弟など、リアルというか現実でありそうで色々と考えさせてくれる。

ふむ。やはり『高橋留美子劇場』シリーズは良いっすな。読了後にはポカポカと心が温かくなるね。どこにでもいそうな普通の家族だけど暖かいホーム。サラッと、かつしっかりと「家族愛」を描いているものが多数。毛色の違うのもあるけど。面白かったです。

『鏡が来た』は『人魚の森』シリーズ好きならストライクでしょうか。

ホラーやオカルト的なエピソードが3本、コメディが2本。収録作は「鏡が来た」「リベンジドール」「星は千の顔」「可愛い花」「with CAT」の5本、あだち充先生との合作「MY SWEET SUNDAY」が収録。

表題作の「鏡が来た」は、手の平に鏡があり、人間の邪心みたいなものをおびき寄せて踏み潰し浄化作業をするという少年&少女の話。今まで見た事ない邪心を持つ者が相手で…というもの。夏に読むに最適な怖さと不気味さでした。

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怖い(小並)。
ジワジワ背筋が凍るような怖さである。人魚シリーズもそうだけど、高橋留美子先生はホラーを描かせても凄いっすな。「恐怖」というものを分かっている。驚愕とは違う。本当に怖い時は悲鳴を上げたり驚くのではなく、見たくないけど目を背ける事も出来ないビビりながらも釘付けになる。バン!と驚くまでの雰囲気や持っていき方こそホラーの醍醐味なり。

何よりも、人間のドロドロした内面をこれでもかと描く。「リベンジドール」や「可愛い花」はコメディ要素がありながら、人の黒いところが描かれる。かといえば「星は千の顔」のように笑えるコメディ一色で、本当に多芸すぎ。どの話もキャラも物語の起承転結がしっかりしてて素晴らしい。短編の名手やね。

らんまを彷彿

「with CAT」は猫嫌い&空手やってる主人公と、どう見ても「らんま1/2」を彷彿させる設定で幼馴染の女の子とのラブコメ。頬がニヤニヤしまくる至高の一品である。本当にさ、高橋留美子先生の描く素直になれない女の子は芸術ですよ。

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芸術的な可愛さである。
素直になれない女の子はいいね。リリン…いや、留美子が生み出した文化の極みだよ。マジで。いちいち俺の心の琴線を鷲掴みにしやがる。ラブコメ萌えによるニヤリング&ローリングで身悶え3回転半を記録するってものですよ。

ヒロインの飼い猫が死んでしまい、主人公の右手に取り憑き、成仏させる為に疎遠になってた幼馴染(両想い)がまた仲良くなるという話。

高橋留美子先生のラブコメの魅力がギュッギュッとつまっていたね。ヒロインの可愛さはモチのロンで、男女が素直になれない、カラ回ったりすれ違った末のアレ。終盤はもう最高と断じるのみ。ネタバレ風味です。

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素晴らしい。実に素晴らしいですね。
何が素晴らしいって「手」だよ。すれ違って離れようとしたら、右手に取り憑いた猫に引っ張られてヒロインの元へ戻っていくんだけど。ヒロインの涙を拭ったのは左手である。紛れもなく自分の手。猫じゃない!最高すぎるだろ!

留美子ラブコメの真骨頂は遠回り青春ラブコメんだと思うんですけど、たった32ページでその魅力が満載であった。超ニヤニヤした。まる。

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