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『葬送のフリーレン』黄金郷のマハトはなぜグリュックを殺さなかったのか

『葬送のフリーレン』第103話「報いの時」

 

( ;∀;)感動した!!

 

この漫画の最長となったマハト編がついに終わった。同じ七崩賢の断頭台のアウラ様はたくさんの笑いを提供してくれたのとは打って変わって、黄金郷のマハトはたくさんの感動と切なさを提供してくれた。

 

 

最後にグリュックと約50年超しの再会してのやり取り。すこぶる泣けましたなあ。結局、マハトは「悪意」と「罪悪感」を知ることなく逝った。

 

「結局何も…わからなかった…」という言葉が切なく胸を打つ。最後の最後まで「魔族」だった。しかし!本当にマハトは何も得られなかったのだろうか?私はノーを叩きつけたい。

 

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マハトは「悪意」「罪悪感」を知りたい

(87話)

 

全ての始まりは100年以上前に人類の村を滅ぼした時に神父から「悪意」「罪悪感」って言葉をまくし立てられたことです。

 

神父からは最期に「そうか…わからないのか…」「可哀想に…」と投げられたのである。

 

マハトは疑問に思うのです。

「悪意」「罪悪感」とは何か?と。

 

「恐怖」「怒り」「悲しみ」「憎しみ」は分かる。しかし魔族には「悪意」「罪悪感」が備わってない。人類にだけあるこの感情を知りたいと思いマハトの壮大な感情探しはスタートしました。

 

…心を痛めるとはどういうことだ?(88話)

 

人類を研究してるソリテールから魔族は(食い物の)人を欺く度に心を痛めてたら絶滅しちゃうからとの答えに「心を痛める」とは何かと真顔で聞くマハトであった。

ヒントを見つけたマハト

南の勇者との戦いの数年後も虚無な人類殺しをし続けてたマハトは殺し合わせた子供からヒントを見つけます。

 

…こいつ全然抵抗しなかった…。幼馴染だったんだ…。ずっと一緒にいたのに、…俺は殺しちまった…。なんで切りかかる振りなんかしたんだよ…。…俺が…俺が死ねばよかったのに…(89話)

 

マハトはこれを素晴らしいと称賛。間違いなくこの子供は魔族には理解できない感情を抱いてると。それが「悪意」なのか?とまったくの見当違いで食い違った事を聞くマハトであった。

 

そして生き残った方の子供こそマハトが知りたい「罪悪感」であると理解したのです。

虚無の人類殺人から一歩前進します。

 

…そうか、罪悪感か。言葉で表せ。俺にその感情を教えてくれ。(89話)

 

「罪悪感」というやつだ!!

 

少年は語源化できなかったが「幼馴染」って間柄にピンときたわけですね。親しい人を殺してしまったら「罪悪感」って感情が出るんだと。名前も知らない少年のおかげで答えに近づけた。

 

(誰か知らんやつ何百人殺そうと)何も感じないのは当然だ。もっと親しい者を殺せば俺にもその感情がわかるかもしれない。それには人類の知り合いが必要だ。親しいと呼べるほどの年月を共に過ごした人類の知り合いが。(89話)

 

こうして「親しい者を作る」そして「親しい者を殺す」ことで知りたい感情「罪悪感」が分かるのではないかと結論を出す。ついに長い旅にゴールが見えた。

 

親しい人を殺せば「罪悪感」が分かるかもしれない!

親しい人を殺せば「罪悪感」が分かる説

年月を共にして親しい間柄の人を作って殺せば「罪悪感」が分かるかもしれないと推測したマハトはグリュックと出会い城塞都市ヴァイゼに仕えることになる。

 

なんのかんので30年も共にして「親しいと呼べるほどの年月を共に過ごした人類の知り合い」そのもの…いやそれ以上のかけがえのない「悪友」となった2人である。

 

92話

 

で、約50年前にマハトは「ディーアゴルゼ(万物を黄金に変える魔法)」で城塞都市ごとグリュックを黄金に変えます。あれ?「親しい者」を作って殺すんじゃなかったの?

 

まるでグリュックの寿命が近いので黄金に変えて半永久のものにしたようにすら見えちゃうんだなぁ。この時マハトにどんな感情があったのかは分かりません。

 

もちろんマハトは他人の黄金化を解けません。それでも親しい人を殺せば「罪悪感」が分かるかもしれない!って考えてたマハトにしては含みのある不合理な行動でした。殺さないじゃん!

 

…それ以上近づくな…近づけばこの男を殺す…(103話)

 

約50年振りの再会で見送る者と見送られる者が逆転した92話踏襲やり取りしてたら、デンケンが近づいてきて「近づけばこの男を殺す…」と。グリュックはマハトにその気がないことは分かってた。もちろんマハトに力が残って無かったのもありますけど…。

 

結局、マハトはグリュックを殺さなかった。親しい者を殺せば「罪悪感」が分かるかもしれないと自ら仮説を立てたのに立証しなかったのである。

 

  • 人類の親しい知り合いを作る…作れた
  • 親しい者を殺せば…殺さなかった
  • 「罪悪感」が分かるはず…分からなかった(証明しなかった

 

「親しい者(グリュック)」を殺さなかったんだからもちろん「罪悪感」なんて最期まで分からない。分かるはずがない。

 

もしマハトがグリュックを殺せば「罪悪感」がわいたかもしれない。心を痛めたかもしれない。魔族なのでグリュックを殺しても何の感情もわかなかったかもしれない。読者は想像するしか無い。

 

ただ一つ言えることは己の説「親しい者を作り殺せば罪悪感がわかるかもしれない」で仕上げの親しい者を「殺す」だけ実行しなかったのだ。

 

この一点に尽きる。殺せばわかったかもしれないのに…。答えを出したくなかったのかもしれん。

 

人間の感情「罪悪感」を知りたいって知的好奇心よりも優先すべきものが無意識で出来てしまった可能性が微粒子レベルで存在する。

 

こうして七崩賢最強のマハトは「悪意」「罪悪感」を知ることなく「人類との共存」も実現できず逝ったのである。何も分からなかった。でも「楽しかった」「掛け替えのない」人間の悪友を一人だけ得たのだった…。

 

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ヤマカム

コメント

  1. 匿名 より:

    殺すと口にはしたけど実際のところ殺す余力も、なによりその気もなかったから罪悪感なんて抱けなかった
    なるほどなあ

  2. 匿名 より:

    マハトの心には、マハト自身にも理解できない何かが生まれていたんだろうなあ

    ほんと切なくて美しいお話だった

  3. 匿名 より:

    泣ける

  4. 匿名 より:

    報いの時ってサブタイトルはグリュックにもピッタリだったなぁ
    マハトとの約束のために黄金化で殺されたと思ったら目が覚めて、直接殺そうともされなかった
    デンケンに頼んだ介錯も魔族としての苦しみからもう解放しやってくれとも聞こえる
    残ったのは発動しなかった支配の石環で、家族も悪友も救えなかった悪い貴族の報いの時を感じさせる

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