激熱すぎる!!!
『ロックは淑女の嗜みでして』(福田宏)読了。これはすごい熱量のバンド漫画ですわね。脳汁ブワーってなりますわよ。ヤバイ。面白い。スゴイ。楽しい。熱い。鳥肌立った(高田延彦風に)。…って語彙力失いますわよ。
お嬢様たちが織りなす音楽は…ロック!?全国のお嬢様が集う女学園にて、窮屈な生活を強いられている鈴ノ宮りりさは、旧校舎から聞こえてくる音に引き寄せられて…?華麗でお淑やかな少女たちが、美しく火花を散らしてシャウトする!!「常住戦陣!!ムシブギョー」作者が描く、お嬢様×ロック青春譚!!
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お嬢様はロッカー
ごめんあそばせ
『ムシブギョー』の福田先生の新作はお嬢様もの。
最初は『マリみて』みたいな作品なんだと思ったんですよ。
主人公の鈴ノ宮りりさは一流の淑女だけが通う超お嬢様学校・桜心女学園に通う1年生。『ノーブル・メイデン(学園一のお嬢様)』を目指してます。
彼女は実は生まれながらのお嬢様でなく、母親の再婚で鈴ノ宮家に入っただけで去年まではド庶民でした。お嬢様の擬態をして過ごしてる。見事な演技で一年生の中では「憧憬の的」と呼ばれるぐらい人気者。
そんな中で黒髪ロングの超絶美少女の黒鉄音羽と出会います。
…な!なんだこの息が止まるほどの…美少女お嬢様は…!
きた。きましたね。
百合の波動が!
濃密に濃厚にお嬢様学校で繰り広げられる甘酸っぱくファンタジー全開の美少女と美少女が惹かれ合ってきゅんきゅんするヤツの匂いがしますもん。
元庶民の鈴ノ宮りりさと本物の超お嬢様の黒鉄音羽による、切なくも感動的な、それでいて頬が弛緩するのがどうすることもできない物語なのでしょう。間違いない。オレは詳しいんだ。
フ●ック
…え。
えっと。背景に白百合の花が舞ってる世界観。「憧憬の的」同士が邂逅してキャーキャーなる絵画のようなシーン。「ごきげんよう」「ごめんあそばせ」などが飛び交いスール制度がありそうな学校。うん。きっと何かの間違いか。
りりさと音羽がキャッキャウフフしながらお互いを意識し合ったり、頬を染め合ったり(背景は白百合)して、すれ違いが起きたり、苦難や壁を乗り越えて成長していき、女子同士の精神的な繋がりがを濃厚に摂取できる作品であることは間違いないでしょう。オレは詳しいんだ。
…え。
お嬢様学校の百合作品では断じて無かった。口汚く罵倒し合うロッカーが2人いた。そう、『ロックは淑女の嗜みでして』は超絶ロック漫画なのである。
めちゃくちゃ熱い。
ロケットで突き抜けるぐらいの勢いと熱量があります。この漫画はロックだ!そしてこの漫画を読んでる僕達もロックだ!
『ムシブギョー』で孕ませハーレムENDをやってのけた福田先生はロックの片鱗を見せてましたが、ガチのマジで凄まじいロックンローラーだった。
ド迫力の女子バンドもの
『けいおん』以降、女子高生のバンド作品ってジャンルは定着しましたけど、今作は可愛くてキャッキャッウフフでキラキラしたものでは断じてない。きららジャンプなんて似ても似つかない。むしろバンジージャンプの方が似合う作風です。
バトル漫画か?
思わずバトル漫画なのかと錯覚する程の激しさがある。迫力がある。躍動感がある。熱量がある。演奏シーンに圧倒され燃え上がる熱血バトルバンド漫画である。
お嬢様学校のガールズバンドなのに可愛らしいキャッキャッウフフ要素など微塵もありません。ギターとドラムがセッションという名で教室で激しく戦う。とにかく熱い熱い熱い熱い演奏シーンが鳥肌ものなのです。
好きの熱風が溢れまくる
(ロックはお嬢様がやるものではない)それってお嬢様関係ないですよね。私は…これを叩いてる時が一番、夢中になれるんです。お嬢様とかそうじゃないとか、殿方とか女性とか、サラリーマンとか自営業とか、金持ちとか貧乏とか、どんな事情も一切関係ありません。好き以外にやる理由があるなら教えて下さい!(2話)
鈴ノ宮りりさは、黒鉄音羽が落としたギターのピッグを拾って届けた時に彼女がドラマーであることを目撃する。ついでに乗せられてセッションまでする。
もともと庶民で親の再婚でお嬢様になったりりさは、実は子供の頃からギター大好き少女でした。お嬢様になるからと捨てたはずのギターであったが、音羽とセッションすることで自分の中のギター愛が蘇り2人はバンドを組むことになるという物語。
とにかく演奏シーンが凄まじい。
よく音楽漫画の褒め言葉として「音が聞こえてくるようだ」ってあるじゃないですか。音の出ない漫画で音を表現する圧巻演奏シーンの例えとしてね。それが体感できる。
まるで音が聞こえてくるように感じたら、それは傑作と呼べる作品です。そして、この『ロックは淑女の嗜みでして』も音が聞こてくる。それも大音量でガンガン響いてくる。加えて熱気まで伝わってくるのです。ヤケドしそうな熱さがある。火の玉ロックだった。
何より演奏してる最中の楽しさよ。
これがビンビン伝わってくる。
とにかく好きが凄まじい。
キタコレ脳汁ドバドバ
バトル漫画やスポーツ漫画のような躍動感で、思わず「うおおおお!」と声出しそうになる絵力。脳汁ドバドバはこっちの台詞ですよ。そしてめちゃくちゃ楽しそうに演奏してるのが台詞や表情や身動きから、それこそ息遣いから伝わってきて、こっちまで何だか楽しくなって来ちゃう。
ところどころでモノローグや過去回想など入れて、生き様や格好良さまで醸し出してんだもん。
お嬢様として生きると決めたのにギターがロックが好きすぎて止まらない。レールから反抗しちゃう。これはロックだ!演奏してる時の台詞・描写全てが泥臭く汗臭くドブネズミみたいに美しかった。
しかも音楽漫画の圧巻演奏シーンって「観客の反応」がけっこう重要なウェイトを占めると思うんだけど、今作は1巻の段階で観客ゼロ。演奏する2人だけ。それで熱風の嵐が巻き起こるシーンを連続させるのは素直に脱帽です。
この漫画はロックだ
まるでロケットで突き抜けていくような勢いがありつつ、2人がバンド結成するまでの紆余曲折とそれを得てバンドを組む瞬間は鮮やかな感動を生む。
ロック漫画好きは、痛みを知らない子供が嫌い。心をなくした大人が嫌い。優しい漫画が好きなのである。2人はめっちゃ罵倒し合ってうし、汗臭い作品ですけど、優しさもある。美しい漫画。どうせバンド結成するなら夢はでっかく!栄光に向かって走り出すのである!
3話の熱量と綺麗な「起承転結」と巨大感情全部乗せを演奏にぶつける様と美しい締めは、見えない自由が欲しくて、見えない銃を撃ちまくって本当の声が聞こえた(ように見えた)。
「ロックは、別に自分たちを苦悩から解放してもくれないし逃避させてもくれない。 ただ、悩んだまま躍らせるんだ」…とはピート・タウンゼントの言葉だったか。
『ロックは淑女の嗜みでして』も1巻で、面倒くさそうな壁や問題や設定が見え隠れしてる。人間ドラマが起こるかもしれない。しかしそんなもん気にもならん。この漫画はロックだから!
完全にロックだしバトル漫画のノリである。だからこそ、少年の心を(少年の心を持つ中年も含む)燃え上がらせる熱さが濃縮してる。この熱さが我々を何度も少年・少女に戻すのだ。
燃え上がらせる熱さにこそあり!伊達っぷりよ。お前がいる、俺がいる…みたいな宿命のライバルみたいな2人の演奏シーンはいちいちカッコいい。ロックすぎるだろ。
お嬢様学校で美少女しか登場しないので百合的なものを期待したら横っ面を引っ張たたく剛速球の熱血漫画である。まあ、1巻終盤に出て来る義妹はそっちの需要にちゃんと答える逸材ではありますが、本質は完全無欠のロックで燃えたぎるバトル少年漫画のコードで描かれてることです。
ロックとはなにか?反抗することか?反体制か?反骨心か?それらをディテールで主題のように拾いつつ、凄まじくフリーダム。自由。ロックだった。この漫画の感想を総括すると出来ない。なぜなら、それはロックンロールだから!
「「私達バンド組まない?」」
こいつらバカだって思ったの。バカの何がいいのか分からないよ。ただバカってだけ、そう思った瞬間涙が止まらなくなってさ…。でもその時、僕ははっきりと頭の中で「こいつらバカだ」って思った。そういう漠然としたすり合わせしかできないんだよ。でも、なんて言うんだろう…。あの幸福感、それがあるんだよ。
この漫画はロックだ!
だから世界中に定められたどんな記念碑なんかより、彼女たち2人が生きてる、この漫画はどんなに素晴らしいのである。どんなに意味があるのである。見えない自由に向かって突き進んでる。超おすすめです。
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- ロックは淑女の嗜みでして
- 微熱空間
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- あまあま
- 未必の恋
- 箱庭の行方
- お前は俺を殺す気か
- 14歳の恋
- 鉄道少女漫画
- spotted flower
- ディアティア
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- 想いの欠片
- お尻触りたがる人なんなの
- 正しいスカートの使い方
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コメント
ロック・ミュージックは本格的に活動すると、とても費用が掛かる分野なので、案外お嬢様には合っているかもしれない
一方で、熱気は伝わるのは良いけど、絵柄からはお嬢様という印象が伝わらない
あと、野卑な台詞を言わせるのがロックとは思わない
絵がクドい
この漫画の作者はロックをなんだと思ってるんだ?