『それでも歩は寄せてくる』最終局
くぅー!感無量である(挨拶)。
ついに『それでも歩は寄せてくる』が完結しました。最終回はうるし先輩が大学生になってからのエピローグって感じで1話の踏襲しててニヨニヨできますが、自分の中のハイライトは卒業式前日と卒業式の対局ですね。
ツイッター(現X)発のショート漫画から連載となり、見事に高校生活を駆け抜けた青春ラブコメとなりました。うるし先輩も凛ちゃんも最高に可愛かった。
※マガポケなら基本無料で読めます。



ラグナロク(最終決戦)前夜
222話
108話
ふつくしい…。
あまりにも綺麗な「起承転結」があった。卒業式前夜、歩と下校してたうるし先輩はずっこけてしまう。
そして転んだ先、目の前に桜があって満開だった。
ごく自然に「綺麗だな、歩」と述べるのであった。
デジャブである。
それは修学旅行でもあった。京都には十月桜と呼ばれる秋に満開になる桜があります。うるし先輩は歩から貰ったお守り求め、サザエさんばりに「お守りくわえたドラ猫追いかけて♪裸足(靴下履いてたが)でかけてく陽気なうるし先輩♪」だったのです。
で、ずっこけた。
そこで見たのは秋に満開になる十月桜でした。
綺麗だったのです。
ごく自然にこう口から出たのです。
へぇ…こんな時期に咲いたりするもんなんだな。キレイだなぁ。なぁ、歩。(108話)
しかし返事は無かった。
あっ!
学年違うんだから歩が修学旅行にいるわきゃ無い。なのに、うるし先輩は隣にいるのがデフォなものとして、自然と桜が綺麗だな歩…って言っちゃったわけ。で、いないと気付いて、とんでもない胸に秘めてたことに気付いてしまったわけです。
私…歩のこと…好きだ
屈指の名シーンである。
うるし先輩が歩を好きと気付いた修学旅行。歩不在だからこそ、一緒に居て当たり前のかけがえのない存在がLOVEだと知ったわけです。
これを踏襲した卒業式前夜はあまりにも素晴らしかったのです。
物語の「起承転結」がギュッギュッと詰まってました。
108話
222話
鳥肌立った(高田延彦風に)!
お分かり頂けるだろうか。歩を好きだと気付いた修学旅行と、卒業式前夜に思わず「大好き」と呟いたうるし先輩は完璧に修学旅行を踏襲してて、尚且つ大発展を遂げてる事に…。
修学旅行は満開の十月桜見て、隣にいるのが当たり前の歩に綺麗だなって声掛けして、隣にはいなかった。だから恋心に気付いてしまった。卒業式前夜は、ずっこけて満開の桜で隣にいるのが当たり前の歩に綺麗だなって声掛けしてちゃんと居たのです。
レスポンスがあった。「桜が綺麗」→「シーン(いない)」から、「桜が綺麗」→「綺麗ですね」「センパイは桜好きですか?」→「…(間)」→「大好き」。
なんちゅう「間」「踏襲」「気焦点ける」を詰め合わせセットを描くんじゃ…。
あ、隣に歩いた
修学旅行でずっこけた前に桜が満開で隣にいて当たり前の歩がいなくても桜が綺麗だった。卒業式前日はずっこけた前に桜が満開で隣にいて当たり前の歩が普通にレスポンスしてくれた。あっ…!ですよ。(桜でなく歩に対して)大好きって述べた破壊力は凄まじい。
ラブコメ読んでここまで鳥肌立てたのは数えるしかない。
『めぞん一刻』で五代くんが墓標に独白し響子さんがアンサーした時、『ラフ』で壊れたウォークマンから最後に「ただ今8月25日金曜日午後9時25分31秒、32秒、33…気温28度、星空、晴天微風ー。きこえますか?あなたが好きです。」が再生された時、『アイズ』のクリスマス告白、『ニセコイ』で小野寺さんが振られた時(怒りで震えた)だけです。
卒業式前夜で、うるし先輩は鳥肌をバリ立てる物語の起承転結の集大成をやってのけたのです。
決戦に向かう前の凛ちゃん
223話
決戦に向かう前の凛ちゃんも良いんだ。三角関係の第2ヒロインといえば主人公を優柔不断にさせるぐらい「隙」や「可能性」があるものですが、彼女には絶無だった。歩は最初から最後までうるし先輩一筋でした。
ここまでまったく可能性を感じさせない第2ヒロインはなかなかいませんよ。そんな凛ちゃんは213話で最後の戦いに敗れた。切なくなることなく爽やかな失恋が印象的でした。
で、卒業式の日にわざわざ歩を待ってて背中を叩いて気合注入。
この時の笑顔でお別れする表情が最高でした。
213話
数あるファインプレーを見せてきた凛ちゃんの中で、笑顔で振られたシーンを上げるラブコメ専門家も多い。歩の真っすぐなところを好きになったので、まったく気持ちブレずフラれて安心すらしたと。中学時代、全力でやっても後悔した過去にケジメをつけてた。
そんな凛ちゃんをデジャブさせる最終戦へ向かう前の最高の笑顔で見送ってくれた。
「もしも負けたら次の部長は私ですからね」って軽口も、凛ちゃんは歩が勝つと確信してるなって思わせてくれる。だって約束したからね。
「田中さんは勝って告白してくださいね」
「ああ、絶対勝つよ」(213話)
このやり取りと笑顔を思い起こさせる最後の凛ちゃん気合入れでした。
最期の審判
うるし先輩の卒業式。最終決戦である。
歩は将棋で勝ったら告白しようと心に誓っており、これが高校生活最後の対局となる。
ま、付き合って無いのにデートしたり手作り弁当貰ったりひたすらイチャイチャしてたわけですが、ソレはソレ。コレはコレ。きちんと告って付き合うってのはラブコメのケジメです。
224話
やりおった!
歩はうるし先輩卒業式に最後の対局で勝利したのだ!
初心者が2年経たずに上級者を超える?強引?いいんだよ!だってラブコメだもん。ついに、己に課してたうるし先輩に将棋で勝つまで告白しないの封印が解かれたわけです。
「「す」」
伝説とも言える勝負のあとに2人は同時に告白しようとした。「す(き)」を同タイミングで出し合うのだった。あまりにもエモーショナルである。
って、うるし先輩はこの将棋は勝っても負けても告白するつもりだったな。既に対局中に「一生この対局が続けばいいのに」「ずっと歩とこうしていたい」と考えてましたからね。
しかし、流石はラブコメ男主人公。立て直し、先行してきちんと2年間の「おあずけ(将棋に勝つまでは…)」って万感の思いを伝えるのです。1話の「ここは男として…」の続きでもある。同時に『す』と言いかけ、ビックリしてちょっとした間があって、歩が先行したのです。
好きだ私も
感無量である。
なにが良いって歩が告白して驚いたりビックリしたり「それってどういう意味?」とか余計な仕草なく、ごく普通に「好きだ私も」ってのがより味わい増してる。おそらく同時に「「す」」と発して色々と察したのかな。それともこれまでの紆余曲折で分かってたのか。
なんにしても最高と断ずるに些かの躊躇も無いわ!
大学生になったうるし先輩
まだ「センパイ」なのか?私たち…その付き合ってるし呼び方…(最終局)
ラブコメとしての最高潮は卒業式前日と最後の対局で気持ち的には「よい最終回だった…」って満足度一杯です。最終話は、エピローグみたいなもの。ご褒美です。
大学生になったうるし先輩が「センパイ」呼びでなく名前で呼んで欲しいという彼女ムーブする話です。名前呼びに照れる歩に「言ってくれただ抱きしめてやるぞ」「チューしてやってもいいぞ」と1話を踏襲したネタとなってます。
あれれ~?
でもさ1話時点では好きと認めたら抱きしめてあげる(まあ、付き合ってないけどハグは経験済みですが)、キスしてあげるって言ってたよね。
もう告白したんだから好きって認めたんだから、名前呼びしなくてもチューはしなきゃダメやろ。
チュー×2するべきですよ!
単行本のオマケは「to be continued」でチューして、1話の好きって認めたからおかわりでお願いします。高木さんの最終回ほどのドラマチックは無かったものの、「これはこれで…」という絶妙なラストでした。
総括すると…。
うるし先輩は可愛い!
これに尽きる。
うるし先輩は可愛いのだ。
『それでも歩は寄せてくる』のタイトル通り恋人同士になっても寄せられてザルディフェンスで、ハワハワする防御力ゼロのうるし先輩は可愛すぎるんだよ。
特にラスト「んあ」は、これぞうるし先輩って味わいが濃縮してた。「んあ」って言葉がここまで似合うのはミドリマキバオー以来ですよ。
なんたってうるし先輩といえば防御力弱い高木さんですからね。からかってみるもカウンターで沈むポンコツ具合こそ醍醐味です。最後までポンコツのパイセンに乾杯!可愛さにノックアウトされ完敗!
山本崇一朗先生は信念がある
いやはやそれにしても山本崇一朗先生は凄いラブコメ作家ですよ。希代のラブコメ作家は、桂正和先生にしろ、赤松健先生にしろ、矢吹健太朗先生にしろ、読者が喜ぶかゆいところをフォローしてたじゃないですか。
可愛いヒロインを生み出すことと、読者が「あんなこといいな〜♪起きたらいいな〜♪」と密かに夢描いている願望を汲み取って、それを漫画で具現化する能力が長けてた。読者の願望叶えるラブコメ聖杯であった。
そこいくと山本崇一朗先生は読者への「媚び」というものは一切無い。
こんなヒロインどうでしょうか?なんてバラエティもない。
あるのは己の「俺はこれが好きなんじゃー!」という一方的な押し付けである(良い意味で)。
これが作者の好きなものー!!
- 小さい
- 軽い
- ぺったんこ
- おでこ
- セーラー服
読者のニーズに合わせるなんて芸当一切せず、自分の大好きな「癖」を一転突破する。媚びることもニーズに合わせることもない。なのに、ムッチリ系が大好きとかのニーズに合わない読者にも、圧倒的可愛さを持って「ええやん!」って認めさせるパワープレーよ。
よく、あだち充先生はエンドレス『タッチ』を描き続けてるって言わる。それは『タッチ』以降は同じような作品を描き続けてるDISでもあり褒め言葉でもある。山本崇一朗先生も同じです。『高木さん』『それあゆ』の続編みたいなのを延々と描き続ける作家と後に言われて欲しい。
似たような作風で己の「癖」を押し通す作家!素敵やん!
信念がある。『ワンピース』において海賊機は信念の象徴ですが、山本崇一朗先生のラブコメでは「小さい」「軽い」「ぺったんこ」「おでこ」「セーラー服」は信念そのものです。
そういえばワンピのゼフはこんな事を言ってた(ような気がする)。
何百もの属性ヒロインを仕込んでも、腹にくくった「一本の槍(「小さい・軽い・ぺったんこ・おでこ・セーラー服)」にゃ敵わねぇ事もあるのさ!と。
一生『タッチ』を描き続けてるみたいなものって評されるあだち充先生のように、『からかい上手の高木さん』『それでも歩は寄せてくる』みたいな作風で、サウザーのように「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」を続けて欲しい。
己の好きなモノを延々と卍解するラブコメ作家…最高だ!
マガポケなら無料で読める
講談社公式アプリ「マガポケ」なら山本崇一朗先生の『それでも歩は寄せてくる』が基本無料で読めます。ヤンマガ・マガジン系など講談社作品が沢山無料!
- それでも歩は寄せてくる
- 兎山女子高校2年1組!!
- 生徒会にも穴はある!
- 世が夜なら!
- 幼馴染とはラブコメにならない
- 可愛いだけじゃない式守さん
- カッコウの許嫁
- 山田くんと7人の魔女
- ヤンキー君とメガネちゃん
- はじめの一歩
- UQホルダー
- 魔法先生ネギま!
- EDENS ZERO
- 化物語
- 東京卍リベンジャーズ
- 炎炎ノ消防隊
- 彼女、お借りします
- 不滅のあなたへ
- ブルーロック
- シャングリラ・フロンティア
- 黙示録の四騎士
- カノジョも彼女
- 女神のカフェテラス
- アルスラーン戦記
- トモダチゲーム
- あせとせっけん
- コウノトリ
- 転生したらスライムだった件
- 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令状に転生してしまった…
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コメント
興味を持ちつつ、実はこの作品を読んでいないのですが、ついに4年半の連載に終止符が打たれましたか
基本的に、第1話から2人の関係は変わっていないのに、ここまで人気が続いたのは凄い
流石に、作者の残りの人生をずっとラブコメ漫画ばかりという訳にはいかず、いくらかの方向転換は止むを得ないと思います。
アニメ化しても終始空気だった。