『アルスラーン戦記』(荒川弘)9巻読了。
「シンドゥラ編」も9巻で完結。勢い落ちず!めがっさ面白い。
王太子・アルスラーン、パルス帰還へ! アルスラーン率いるパルス奪還軍は、隣国シンドゥラの王位継承戦の渦中にいた。アルスラーン軍の助力により、王位を懸けた“神前決闘”に勝利したラジェンドラ。新たな国王誕生の歓喜は、しかし敗れたガーデーヴィの謀反によって一転する…。波乱に満ちた王位戦の終結。そして少年を襲う新たな裏切り! 王都奪還を目指す、王太子・アルスラーンの命運は…!? 戦いの地は再びパルスへ!
※マガポケなら無料で読めます。
<関連記事>
ちなみに私は原作小説読んでいません。
漫画版しか読んでないけどそれでも深い世界観とワクワクする英雄譚に夢中でハマっております。
『アルスラーン戦記』9巻
最後の晩餐
腹を満たし酒に酔わせ正体を失ったところを苦しませないように殺す。それがシンドゥラで王族を処刑する作法でございます。
ヒエ〜ッ!
アルスラーンとアルフリードがドン引きし、ダリューンも「マジかよ…」って面。ナルサスだけ顔が隠れてリアクションが分からんの気になります!
そもそも、これから殺されると分かってて潰れるまでドガ食い&飲みまくるなんて出来るものなのだろうか。歴代の王族が「王族を処刑する作法」で何人処刑されたか知らんけど絶対に無理でしょ。
事実、ガーデーヴィも飲む余裕なく反抗したし。使徒の一人がイエスを裏切ると告げられたりペドロが弟子否定を予言する「最後の晩餐」と同じ名前なのは「裏切る」「反抗する」にかかってんのかな。絶対反抗する作法か。知らんけど。
てか、ラジェンドラは前巻で父王の頼みに「わかりましたよ!ガーデーヴィの命は取りません」と約束したけど、あくまでも自首したらって前提でしたので、亡き父との約束を守りつつも上手い具合に兄を処刑したね。
ラジェンドラの愛すべきバカ
なんでこうなった
初登場時とまったく同じ台詞&恰好でとっ捕まったラジュンドラさん。
安西先生が見てたら「まるで成長していない…」と言うことでしょう。助けてくれたアルスラーン達をワナに嵌めたつもりも返り討ちにあってしまう。「汚い!狡い!情けない!」の三冠王を獲得です。
冷静に見ればラジュンドラもクソ野郎なんですよね。
ガーデーヴィもクソ野郎だったのは間違いないけど弟も大概やで。
ただ、ラジュンドラの場合は不快にならないって点が大きいのかな。ラジュンドラは「愛すべきバカ」として描かれてるので生かされてもオーケーって思うし。実際にアルスラーンも「憎めない」って言ってるしね。
王の資質という点では完璧ではないがラジュンドラがある。
ここまで長編で描かれた「シンドゥラ編」。完璧じゃないけど民に愛されれば大丈夫って点ではアルスラーンと被るのかな。
「甘い」という言葉
殺す気になれない
いえ、殿下。「甘い」とは殺すべき者を殺さない時に使う言葉です
ラジュンドラを生かしてオーケー牧場となったアルスラーンとナルサスのやり取り。
「甘い」というのは殺すべき者を殺さなかった時に使うんだと述べるナルサスである。だから今回は甘くない。ナルサスが言うと深いんだか、どの口で言ってるんだかと思ったり思わなかったり。
ラジュンドラは今後役に立つのかもしれないので「甘い」ではないかもしれませんが、少なくともナルサスは作中で変態仮面(ヒルメス)とバフマンは叩き斬れたよね。どっちも斬っときゃ良かったんじゃねーの。
39章 / 36章
バフマンはアルスラーンが正当なパルス王家の血筋ではない(としか受け取れない)ことをぶっちゃけちゃったし。ナルサスも「こうも致命的な時に致命的なことを口走るとは…斬っておくべきだったかバフマン!」と後悔。まさに「甘い」をやらかした。
まあ、バフマンはアルスラーンを庇って逝ったので、結果的に生かしておいて良かったに該当し「甘い」には入らなかったが。でも結果論やし。斬れたのに斬らなかった変態仮面さんもいつか役に立つ可能性が微粒子レベルで存在する?
「甘い」とは殺すべき者を殺さない時に使う言葉だそうなので、ナルサスはシュガーたっぷりのアルスラーンと違うビター味なのでね。引っ掛かりました。
ジャスワント&サリーマ
うちへいらっしゃいな
新たに仲間に加わったジャスワント。
旅立つ前にサリーマから「このままここにいればいいのに」「うちにいらっしゃいな」と一緒に住めばいいと誘われていました。
なかなかグッとくるやり取りですね。この2人って前巻のマヘーンドラの「わしは幸せ者だ…こうして、息…こ…」という言葉などから察するに異母姉弟(兄妹?)でいいんだよね。ジャスワントもマヘーンドラが父親ではないかと推測してたし。
「あなたとはきょうだいみたいなものよジャスワント」って言葉に驚愕してるのがなかなかどうして。マヘーンドラさんも腹違いの弟(兄?)と気づいていたのだろうか。一瞬「俺」と立場上は上のマヘーンドラに弟っぽい素が出てたのも良ければ、見送るお姉ちゃんっぽいサリーマも最高だった。
キシュワードの中間管理職っぷり
55章「密書の行方」
国王と王太子が政治を巡って対立なさった時、キシュワード殿はどちらにお付きになられますか
キシュワード「…」
(返事が無い。ただの悲しき中間管理職のようだ)
1ページ前に、仮にアルスラーンがパルス王家の血を引いてなかろうと忠誠心は変わらん(キリッ)と述べてたのに、ナルサスにじゃあ国王と対立したらどっちにつくか尋ねられればぐうの音も出てませんでした。
うーむ…キシュワードはもしも国王と王子が対立した場合はどっちにつくか決められない様子。どっちかと言えば国王につきそうにも取れる。まあ、国王と対立したという仮定でまだ王は幽閉されたまんまなので、今話しても仕方ない事ですが…。
しかし、こんなやり取り描くってことはアルスラーンは父(かどうか不明)のアンドラゴラス三世と対立するってことでしょうか。そうなったらキシュワードはどうすんじゃろ。ナルサスの悲しそうな表情から察するに王を取りそうに見えるが…。
「尊師」って誰だよ!?
尊師…尊師…!!
こいつ、40話でキーヴが存在を感じた壁の影だよね。
ヴァフリーズからバフマン(おそらくアルスラーンがアンドラゴラス三世の実子ではないと書かれてる)密書を手に入れました。ま、ナルサスが用意した偽物ですが…。
謎の魔術師は密書(偽)を手に入れて「尊師」なるものへ届けようとしてました。
尊師…尊師…!!密書はたしかに手に入れました。直ちにエクバターナへお届けいたしますぞ…!
尊師って誰だよ!
今までそんな役職のやついたっけ?王都エクバターナが根城のようなので、最初は変態仮面(ヒルメス)の命令で動いてるのかと思ったけど、9巻の変態仮面にはそんな素振りは微塵もない。ルシタニア王弟ギスカールもイノケンティス王もなんも無い。ボタンはサーブル城を根城にしてるし。
え?エクバターナには「尊師」と怪しい魔術師に呼ばれる者が他にいるってこと?
エクバターナにいるのはルシタニア勢(ギスカール派とイノケンティス派で別れる?)と変態仮面さんの勢力の2つか3つだよね。それぞれの思惑が複雑に絡み合ってるのに「尊師」と呼ばれるもう一つの勢力がありそうだぞ。ルシタニア国に属するのかパルス国の属するか第三国に属するのか…。
アルスラーンとヒルメスの出生
アンドラゴラス三世語る
9巻の最大の見どころはアルスラーンとヒルメスの出生の秘密でしょう。
肝心なことはボカされたけど、すっげー意味深。アルスラーンがアンドラゴラス三世の実子では無さそうなことは2話の段階で描かれてましたが、ヒルメスの方も出生に秘密がありそうです。
あれ?アルスラーンどころか現国王アンドラゴラス三世すら簒奪した偽物の王って言い切ってたのに、自分こそが正当なパルス王家の血筋って自画自賛してたのに、変態仮面さんも雲行きが怪しいぞい。
とりあえず変態仮面さんで判明したのは以下の通り。
「それは」「の子で」「らない」「自分の息」
うむ、分からん。
これを打ち明けられたサームはマジでドン引きしてたので、相当アレな出生の秘密がありそうです。(アンドラゴラス三世は嘘をついてるかもしれんとも述べてるが)
アルスラーンはアンドラゴラス三世の実子ではないが、しいて言えば母似と語られてたがタハミーネの子でもないかもしれん。え?両親とも血縁関係無し?アンドラゴラス三世とタハミーネの間に子は生まれたが「だが…」である(=アルスラーンはどっちの子でもないっぽい)。
なんだこの王族…ドロドロじゃねーか!
まあ、この作品のテーマは36話「国王の資質」でナルサスが言い放ったのが王の資質なのだろうと思われるので、アルスラーンにしろ変態仮面にしろ血筋なんて関係ないんでしょう。
たとえ、パルス王家の血を引かぬ者であっても善政を行って民の支持を受ければ立派な国王だ!!それ以外に何の資格が必要と仰るのか!?
そういう意味ではアルスラーンは王の資質が一番有るのかな。
クバード
クバード
変態仮面の下につくも速攻で離反してしまった元万騎長・クバード。
読み返すとこいつ1話から出てるので、けっこう重要キャラっぽいですね。
アトロパテネ会戦時でも目立つ活躍しつつ、3話でアンドラゴラス三世が撤退したと聞けば「部下を捨てて逃げるような君主に捧げる命などないわ」「国を守るべきはまず王の責務…それあればこそ王は王としての権威を持つ」と痛烈に批判してました。
「王とは…」云々を解いて、アンドラゴラス三世にも変態仮面にも王の資質を見いだせてないので、十中八九アルスラーンに王の資質を見出す役割がありそうな感じですな。まる。
マガポケなら無料で読める
講談社公式アプリ「マガポケ」なら荒川先生の『アルスラーン戦記』が無料で読めます。その他マガジンなど講談社作品がわんさか無料で読めます。
- 五等分の花嫁
- はじめの一歩
- UQホルダー
- 魔法先生ネギま!
- EDENS ZERO
- 化物語
- 東京卍リベンジャーズ
- 炎炎ノ消防隊
- 彼女、お借りします
- 不滅のあなたへ
- ブルーロック
- シャングリラ・フロンティア
- カッコウの許嫁
- 黙示録の四騎士
- カノジョも彼女
- 女神のカフェテラス
- アルスラーン戦記
- トモダチゲーム
- あせとせっけん
- コウノトリ
- 転生したらスライムだった件
- 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令状に転生してしまった…
他にもたくさんの作品が読めます。
無料ですのぜ是非とも通勤・通学のお供にアプリを入れてみて下さい。
コメント
漫画版まだこのへんの話なんだ
>ナルサスが言い放ったのが王の資質なのだろうと思われるので、アルスラーンにしろ変態仮面にしろ血筋なんて関係ないんでしょう
王様に求められるのは資質というか能力が一番、というのは理想なんですが
「じゃあ俺のほうが能力あるから王様やるわ」ってバカが次々と刃向かってくるのが世の常人の常
その点血統は努力じゃどうにもならんので諦めが付く、なんて物分りの良いバカばかりじゃないですが、正統性が失われて実力主義になるとそれはそれで血を見るんだから乱世ってめんどくさいですね。
ただなぁ、終盤の(原作者がもう飽きたからコロコロする)ラッシュを漫画でどう表現するんだろう、という危惧がある作品なんだよなぁ。
原作では、サームに語るシーンでヒルメスに関しては読者にもほぼ全部わかるのですが、漫画版では隠したんですね。
ドン引きですよ。
漫画版は1部で終了予定らしいし大丈夫だろう
それでも後4,5年かかりそうだけどw
「銀の匙」の本格的な連載再開はまだまだ先になるのか…
鋼の〜が超面白かっただけに荒川先生に原作付きやらせるなんて勿体無いって最初は思ったけど、アルスラーンもハマれたので予想をいい意味で裏切られた。
「尊師」はヒルメスに助言を授けてた黒幕っぽい魔術師のことでは?(アトロパテネで霧を発生させた張本人)
なんというか、
自分は結果を知ってる話について他者があれこれ想像を巡らしてるのを見るのは何かこう…(disるつもりはまったくありません)
正直角川版読んでた頃はラジェンドラがあんなことになるなんて想像もしてなかったし
原作ではジャスワントとサリーマの別れのやり取りはなかったんですが、とても良い追加エピソードだったと思いました。
原作はあれだ
あれアニメ効果で書かされたことの当てつけだよね‥‥