『BE BLUES！』5年以上前に交わした約束を本当の意味で叶える一条龍に胸が熱くなったんだ

ここ最近ずっと『BE BLUES！』が熱い。

 

前から面白かったけど、赤城中央戦を前にした練習や青春の1ページがすこぶる面白い。というか過去最高に面白いのではないかとすら思えますね。その要因はカタルシスに尽きる。一条龍完全復活という物語としての高揚。胸が熱くなりましたね。

 

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『BE BLUES！』一条龍

4年前の約束

一条龍といえば誰もが認めるサッカーの天才である。

 

しかし小学生時代に幼なじみの優人を助けるために大怪我を負ってしまう。日常生活送れるかも分からない大怪我から懸命にリハビリをして、再びサッカーへ戻って来た。その行動原理は約束を守ることでした。

 

優人…また一緒にやろうぜ。（12話）

 

病院の先生にサッカーできるようになるのか聞いて「私が無理と言ったら、あきらめるのかい？」の一言でもう一度サッカーをするために何でもする決意を固めました。そして優人と「また一緒にやろうぜ」と約束（優人がメンタルボロボロでサッカー辞めるんじゃないかと心配して）。

 

小学生時代の初期のエピソードです。そもそも「またサッカーできるようになる」「優人と一緒にやる」ってのはとっくに叶っていたと思ってましたからね。

 

しかしそうじゃない！そうじゃなかったのだ！「また一緒にやろうぜ」の意味合いは以前と同じようにサッカーをプレイするだけでなくスーパープレイ連発してた頃の一条龍として「また一緒にやろうぜ」だったのである。

待ってもらってる

でも後ろ向いてるヒマなんかないんだよ。迷うなら進む…待っててくれるヤツがいるしな。（15話）

 

大ケガした選手は前と同じにはなれない。ましてや最も大切で伸びる期間12～13歳（ゴールデンエイジ）を丸々棒に振った者は特にそうである。いわく「治ってもそれはもう…同じ名前の別の選手」である。

 

それは龍ちゃんも分かってた。ただ「待っててくれるヤツ（優人）がいる」ので前を向いて進むしかないと言い切っていました。

 

小6の夏に追った左腕と右足の脛開放骨折、腰椎圧迫骨折、頭も全身強く打撲…という普通の生活に戻れるかも怪しい重症から2年ちょっとの中2の秋に龍ちゃんはプレイヤーとして戻ってきたのである。待ってる優人との約束を叶えたと見ることもできす。

 

だ・け・ど！まだ叶ってなかったのです。

「待たせたな優人…」

プレイヤーと復帰した龍ちゃんは優人にこんな言葉を投げかける。

 

2年以上か…待たせたな優人…（16話）

 

「また一緒にやろうぜ」と約束した言葉通り、懸命なリハビリの末にプレイヤーとして戻ってきた。2年以上かかった末に約束を果たしたからこその「待たせたな優人」はグッとくるものがあります。

 

しかし、この一条龍はまさに「同じ名前の別の選手」だったわけです。最初は優人のランニングにもついていけませんでした。

 

龍ちゃんが約束を守らないわけないって、わかってても夢みたいだ。今日からまた一緒にプレーできるんだ！ありがとう龍…

 

優人のペースについていけない龍ちゃんがそこにいた。

 

中2秋に弱小サッカー部に入部してからのリスタートでした。そして、「同じ名前の別の選手」と化しても随所で活躍していき、中3～高2にではかつての天才時代を彷彿させるスーパープレイを連発させていました。

 

 

中3では優人よりも遥かに良い選手になってたし、優人のペースにも余裕でついていけるし、同じフィールドに立ってサッカーしていました。もう「また一緒にやろうぜ」も「待たせたな」も全部終わってることだと僕ら読者も思ってたわけですね。

 

しかし本当の意味では叶っても果たしてもいなかったわけ。待たせたまんまだった。

5年以上かかった約束

優人…ずいぶん待たせちゃったな、ごめん。（434話）

 

434話を読んで鳥肌を立てながら感動したのはスーパープレイ以上に、優人にかけた一言に尽きる。

 

ずいぶん待たせたけど「また一緒にやろうぜ」って。5年以上前の約束を、ガチのマジで果たしたわけですからね。ただ同じピッチに立つってだけでは決してない。天才と評されたあの頃のプレイヤーとして「また一緒に」を5年越しに実現したのである。

 

だから3年前の表情と同じ表情なのがニクイ。

 

434話 / 16話

 

「優人…ずいぶん待たせちゃったな、ごめん」という台詞が3年前（リアル時間でいば10年前）が蘇るのです。2年以上ではないです5年以上です。延長した3年プラスの約束の結末ですよ。

 

5年以上か…待たせたな優人…（ごめん）

 

だからこそ「ごめん」なんやで。

 

中2時代に「待たせたな」とプレイヤーと復帰したけど真の意味で以前と同じ「また一緒にやろうぜ」ではない。今ではプロ目前のスーパープレイヤーでも小学生時代に交わした以前と同じように（大浦SC 時代）をついに果たしたわけ。

 

この感覚はもう優人にしか分かりません。理解できません。434話のサブタイ「龍ちゃんだ」は優人の台詞だし、5年以上に及ぶ果てに守った約束だからこその感動が胸に響く。だから、やっぱり、5年以上前の…約束を交わしたデジャブなんだ。頭ナデである。

また一緒にやろうぜ

12話

 

434話

 

優人の頭を撫でるって演出が最高オブ最高なんだなぁ。あの日、病院で交わした約束の意味を僕たちはまだ知らなかった。いま知った。同じように泣き崩れる優人の頭にポンと手を置いて約束を果たしたシーンによって。

 

5年前に自分のせいで大怪我させちゃった優人にとっちゃ、「優人…また一緒にやろうぜ。だから…やめんなよ。」がここに収束したわけです。待ってて良かったなぁと。サッカーをやってて良かったなぁと。あの龍ちゃんが帰ってきた！

 

 

5年越しの約束を果たした男がいるわけです。5年前の約束を待ってた男がいるわけです。なんちゅうものを魅せるんや！脳汁が出るわけですよ。鳥肌が止まらないわけですよ。「うおおおお！」ですよ。

 

みんな…知らないから…龍ちゃんは…絶対プランをやり遂げるもの…（13話の優人モノローグ）

最強の一条龍

すでに作中でケガをしなかった一条龍の姿は分かりやすく比較材料として描かれている。立彦である。立彦は龍ちゃんがケガせず成長してた姿というのはかつての一条龍を知る者の見解である。

 

361話

 

 

「龍があのままで来てたら、きっとこうだ、もっとこうなって…もっともっと…って」というプレイヤーになってしまった。17歳でJ1を無双している。このままいけば龍ちゃんの計画である17歳でJ1新人王も18歳で日本A代表も確実でしょう。

 

しかし、かつての感覚を取り戻した龍ちゃんは多分、ケガをしないで成長した姿（立彦）を超えるんじゃないかと睨んでますね。

 

例えば広島カープ（野球かよ）の鈴木誠也選手。いまや広島の不動の4番だし球界を代表する選手であるが2017年に大怪我して期待の若手状態でシーズンを棒に振ってしまった。そして復活後の活躍はご存知の通り。

 

「あのケガがあったから変われたんだと思う」

「自分では変わることができないから、野球の神様がケガして見つめ直す時間をくれた」

「一昨年はケガをして神様に変わるチャンスをもらった。」

 

下手したら選手生命に影響するケガであったが、それを感謝するコメントをずっと述べている。いわく「あのまま行ったら…」である。もちろん、ケガをしなかったら今より凄い選手になってたかもしれません。本人はケガがあったからこそ今の自分があると一貫して述べてる。

 

12～13歳（ゴールデンエイジ）をリハビリで棒に振った龍ちゃんである。もしケガなく今の年齢を迎えてたらどれくらいの選手になっていたのだろう。もちろん神（作者）のみぞ知るセカイであるが、今の立彦と同程度なんだろうと想像に難しくない。

 

いや、立彦は17歳でJ1無双しまくってて日本サッカー史に残るスーパープレイヤーですよ。18歳で日本代表は間違いないでしょう。それでもだ。それ止まりと思ったり思わなかったり。

 

最も大事な次期（12～13歳）をリハビリに費やしたからこその、感覚が戻らずに四苦八苦したからこその、順調に成長してた姿（立彦）をも超える一条龍の未来図が見えましたね。

 

この漫画のテーマは「苦労した果ての遠回りの努力は実る」ですからね。それを最も結実するのはやっぱり主人公なんじゃろね。赤城中央は虐殺される予感しかしねーぜ。なんたって「龍ちゃんがいる！（BY優人）」です。

 

 

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