『BE BLUES』431節:龍の背中
『BE BLUES!』は龍ちゃんの圧倒的才能が見所でスーパープレイすると「うおー!すげー!」と身震いする。最条(滋賀)戦で見せたゴラッソはそれはもう凄まじかった。怪我する前の感覚と圧巻プレイの魅せ方が上手い。
今や田中モトユキ先生は躍動感ある描写を描かせたら天下一品の筆力で鳥肌が立ちまくる。で、個人的に最近面白いと思ってるのは天才ではない凡人から見た視点です。いわば「持ってない」人物が天才を前にするシーンが本筋をより彩る。
今回の矢沢(すっかり1年ズと仲良し)の「あいつにゃ追いつけねぇかもって、くそっ…」と、龍ちゃんの才能を前に愕然とする一方で「くやしい」という気持ちが実に良いね。まだ天才に勝ちたいという心意気がある。折れてない。
『BE BLUES!』の「持ってない」凡人は良い味出してる説である。
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『BE BLUES!』の「持ってない」側の人間
凡の中の凡人の遠藤獅子雄
キミがおらへんとこの大舞台のピッチに、オレなんかの居場所は1秒たりともあらへんのや。(427話)
最条(滋賀)戦は遠藤獅子雄の「持ってない」者の執念が凄まじかった。弟・高虎に比べて才能の欠片もなくレギュラーでもない背番号19の補欠。彼はエースへの「密着マーク」一本だけで、正レギュラーとは言わないまでも試合に出れるようになりました。
武蒼のエース龍ちゃんをひたすらマークするお仕事。むしろそれが無ければ全国大会のベスト8の大舞台に立つ資格すらない。それを自分でも分かってるのが哀愁漂う。
「持ってない」獅子雄の執念は凄まじかった。顔面ダイブを筆頭に天才龍ちゃんをけっこう追い詰めてたのは「凡人が天才に挑む」という視点でみるとかなり熱い。
試合出てる22人の中で一番下手だと断言できる獅子雄が「密着マーク」ひとつで渡り合う姿はなかなかどうしてよ。
天才に挑む凡人の戦法「武器一本」
422話
ピッチに立てるレベルでないのにエース封じの「密着マーク」のみに活路を見出して試合に出れるようになった。才能の塊の龍ちゃんの存在感を試合の8割は消していた。これはすごい。
「絶対勝てない相手だけどそれでも頑張りましたー!(無策)」なんてチャチなもんじゃ断じて無い。凡人が天才と渡り合うための、戦うための、勝つための極意ともいえる。戦える武器を見つけるである。かっけー!!
例えば『スラムダンク』海南の神。センターとして入部したけど問題外で監督にも指摘された。それから諦めるでもなく1日500本のシューティング練習を欠かさず毎日繰り返した。センターは無理だったけどシューターとして名門海南のエースとなった。
他にも『YAWARA!』の本阿弥さやか。柔ちゃんのライバルを自称し試合は全て秒殺負け(差し歯ポロ)。立ち技じゃ一生勝てないと目立ちたがり屋のプライド捨て寝技に活路を見出す。天才猪熊柔を蟻地獄に引きずり込みあと一歩まで追い詰めた。
相当な努力で凡人が戦う術を見せていた。獅子雄の「密着マーク」も同じ。練習では弟・高虎相手に全然上手くできてなかった事が示され、ひたすら努力してここまで仕上げた事が伺える。
凡人の執念
421話
獅子雄さんかっけーっす。
どんなジャンルにしても「才能」の壁はあるし意気消沈することもある。
それでも諦めない姿勢を見せるのは立派だけど無策で挑むのはアホですからね。「勝てないと分かってる相手(舞台)に挑戦しました」って全力出しただけの自己満足とはダンチ。そこを上手く描き凡人が戦える道筋・策略で挑む獅子雄は素直に尊敬です。
結果だけみるとゴラッソ決められて龍ちゃんの覚醒を促す当て馬の役割でしかなかったけど。それでもスゴイ熱量でした。実際、試合は紙一重でどっちに転んでもおかしくなかった。ナベケンがスーパーファインセーブ連発したから勝利できたといって過言でない。
ナベケンいなきゃ高虎にボッコボコにされた世界線もある。
もォいっぺん
428話
本来なただの補欠以下で冬の選手権に立てない男としては十分な仕事をした。「凡人の獅子雄としてはよく頑張ったよね」という評価は出来るのに本人がまったく満足してないのもすこ。
本気で勝ちたかったし、もう一度やり直したいって思ってる。「もォいっぺん」である。ろくにファールすら取らせてくれない、あの天才一条龍相手でも。恐るべき凡人のハードルの設定。いや、正確には龍ちゃんを抑え込んでこの試合に勝っても満足できなかったかもしれない。
「もォいっぺん」の渇望。
チームメイトやプレイスタイル認めなかった高虎から褒められても響かない。龍ちゃんから称賛されても「あ、そうすか」程度。なぜなら根底にあったのはまったく違う、原始的なものだったから。あまりにも胸に響くね。
本当の「もォいっぺん」
429話
「もォいっぺん」
獅子雄がサッカー続けた意味。それは単純明快なガキみたいなものでした。でもそれがね。いいんんだ。「もォいっぺん」はやり直したいでも、こうしときゃ良かったでも、もう一度トライしたいでも無い。
その描き方があまりのも上手くて心を打つ。そんな単純な理由で頑張ったのかよと思うと同時に叶って良かったなぁとも思わせるぐらい名シーンの連発。
試合終了の時に下を向いてた格好ポーズで上を向けたこともエモい。でも一番のエモいのは目だよね。瞳だよね。
獅子雄の瞳に映るもの
416話
マンマークすることだけがお仕事だった獅子雄の瞳に写ってたものは龍ちゃんでした。この瞳の映る龍ちゃんってのマンマークする上でかなり強調されていた。
この試合中キミは、ずっとオレの目ン玉の中やから。
せやから試合中、ずうっとや。
さすがやな、高虎が認めるだけのことはある…。
マンマークマン獅子雄の目に映るものって観点でもすごく良かった。ずっと龍ちゃんの姿だけを瞳に捉えてたのが良い味出したわけですね。「もォいっぺん」と合わさって感動もひとしおです。
429話
獅子雄の瞳が捉えたもの…という演出が芸術的ですらあったわけよ。龍ちゃんを瞳に写し続けた末の結末。「もォいっぺん」と合わさって感動もひとしおです。
なにか大切なことを思い出す。
龍ちゃんのライバルとしては歴代で最下位の実力だろう。それでも、凡人が天才へ挑むという観点で見せ場を作りよくやった。演出もうまくグッとくるようになってる。
「才能」「持ってる」ものなど一切無い。それでも諦めずに頑張った。努力した。その末に魅せた勇姿を僕らは忘れない。読者の胸に響き渡る全力の生き様があったわけです。思わず、貰い涙をこぼしそうになりましたね。
持ってない者の頑張るシーンが頑張った結果が心打つのだ。感動がそこにはあった。これは『BE BLUES』のヒロインにも言えるのではないだろうか?
アンナはまだ終わってねぇぜ
江藤さんは可愛い(真理)。
『BE BLUES』のヒロインにおいて江藤さんは間違いなく頭ひとつ抜きん出てる。実際、一番かわいいです。
憲の言葉を借りれば「あんな可愛い子がいちばん貪欲にあざとい展開してるんですから、そりゃ、ヒロインレース離されていきますよね」である。
まじの正妻である。このままいけば江藤さんがお嫁さんの座になるのは間違いないだろう。だからといって、他のヒロインが頑張らない理由にはなりません。「才能」「持ってる」って観点で見れば江藤藍子はヒロイン界の一条龍である。
対するはヒロイン界の遠藤獅子雄(と勝手に自分が呼んでる)滝沢アンナですよ。
ヒロインとして「才能」「持ってる」は絶無。そもそもピッチに立てる立てない以前にベンチ入りすらしてませんからね。出番が無い。お話に呼ばれない。
そんなアンアが数年ぶりに登場したわけです。
ア、アンナァー!!!!
確か最後に本編に登場したの289話やで…。完全に「ハイ!消えた!」な状況下に置いて、まだ終わってないというメッセージではなかろうか。
本来なら才能が違いすぎて同じステージにすら立てなかった獅子雄が挑んだように、アンナにも魅せて欲しいですね。ヒロインとして生き様を!
もはやここから江藤さんに勝つのは100%不可能と言い切れる。ヒロインとしての才能が違いすぎる。それでもだ。「もォいっぺん」だ!獅子雄が天才相手に良い勝負したように、アンナの江藤さんへの挑戦も期待したい。
今回のサブタイは天才の「龍の背中」であると同時にヒロインの天才「藍子の背中」って意味がある(と思ってる)。まる。
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コメント
存在感のあるライバルだったねシシオ
アンナもいいけど優希は完全に降りたのけ?
真のヒロイン桜庭さんには触れないんですか?!
龍に対してどんな複雑な心境なんだろう…と思わせてからのニヤケ顔にやられましたわ!
今週アンナ出たなと思ったら早速記事になってて草
アンナには
ボリムデザイスタ(やっぱり大好き)
と言わせて欲しいです。読者に
今話最後のアオリがBLっぽい
10周年おめでとう
(なぜか本誌でスルーされてるが)
初代『BE BLUES!』ってなんです?
読み切りか外伝みたいなのあったんかな
相手に怪我させる設定はいらなかったな。