いやぁ〜幼なじみって本当にいいものですねぇ…(水野晴郎風にしみじみと)
『だって君は、幼なじみ。』(伊鳴優子)読了。
完全無欠の「幼なじみ」オムニバス短編集です。すべて幼なじみもの!少女漫画からこういうのが出るのは喜ばしいですね。
「あなたのいいところは、私が一番知っている――」 夏祭り、修学旅行、進学、クリスマス、卒業式…。さまざまな季節をめぐる、5人の女の子の幼なじみとの恋。雑誌掲載直後に大反響の名作オムニバスシリーズがここに! いつも一番近くにいるのに、恋をすると遠く感じてしまう。だけど、誰よりもあなたのことを想っている…。期待の新星・伊鳴優子が描く、幼なじみだからこその胸キュンと葛藤がつまった5つの恋模様を収録。
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『だって君は、幼なじみ。』
私は昨今の「幼なじみ」を無下にする風潮に思うところがありますから。かつては最強と言われたのに、今では「幼なじみ」って設定で「あ、負けヒロインじゃん」なんて普通に思っちゃうぐらいですから。
そこへ一石を投じるのが少女漫画の『だって君は、幼なじみ。』である(※違います)。
収録されているのは「夏の夜、君と変わる。」「もういっかい呼んで」「その背中に追いつきたい。」「想い出の続く先」「だって君は、幼なじみ。」の各種バラエティに富んだ「幼なじみ」があります。
「夏の夜、君と変わる。」
小さいころから変わらない距離を歩いてる
「夏の夜、君と変わる。」は小さい頃から一緒にいるのが当たり前となった幼なじみのエピソード。「変わらない距離」と一緒に過ごすのが当然の仲だけど…ってやつです。やっぱ「幼なじみ」の醍醐味といえば距離感ですからね。
幼なじみは小さい時から一緒に過ごすので「腐れ縁」で「友達以上恋人未満」のなんとも言えない微妙な関係が一番旨味があると多くの「幼なじみ」評論家も指摘するところです。
そんな「一緒にいて当たり前」から距離を近づける流れはなかなかどうしてよ。胸キュンやった。「この距離、縮めていい―?」は破壊力あった。
幼なじみならではの距離感。これ志向なり。
やっぱ、「脱・幼なじみ」というのは良いものだと改めて思った次第です。はい。
「もういっかい呼んで」
なんでいるの!?
はい!来ましたね。
「幼なじみ」で大切なのものの中に運命力というのもあります。
例えば、現実の幼なじみなんて成長するにつれて、次第に疎遠になってしまうものでしょう。しかし、漫画などの幼なじみは違います。たとえ親の都合で遠くに引っ越しても、鮭のように必ず主人公の住む町に帰ってきます。これは必然でありまーす!
「もういっかい呼んで」は主人公の少女が引っ越して疎遠になったものの、修学旅行で運命の再開をするのであった。「幼なじみ」は引っ越しても必ず巡り合うのです!
昔は下の名前呼びだったのに、修学旅行で久々に再開すれば苗字呼びに変わってムズムズしつつ再び下の名前呼びになるって話。ニヤニヤするな!一度疎遠なっても「幼なじみ」は特別なんです。
「その背中に追いつきたい。」
…中1の時?
もう一つ「幼なじみ」で外せないは「想い出はおっくせんまん」である。
「その背中に追いつきたい。」は先に就職した男をずっと前に進んでしまったと感じて、どうやって追いつこうというエピソードでしたが、個人的に一番エモかったのは2人のメモリーでしょう。
幼なじみだけが持つ回想宝具「幼き日の2人の思い出」はちょっと反則級の破壊力ですね。これが発動すれば、全てのアレコレの悩みや話をぶった切って強制的に納得しちゃうもん(褒めてます)。
読了後に、「うんうん」と思うしかない。
やっぱ幼なじみだけが持つ「思い出」は強い。どんな困難も乗り越える!感動的ですらある!幼なじみのメモリーは最強なんだな!
「想い出の続く先」
お世話になってます
短編集『だって君は、幼なじみ。』で唯一年の差がある幼なじみである。
他は全て同じ年の幼なじみなので新鮮でもある。後述するけど、幼なじみに大切な要素に「お兄ちゃん(弟)以上恋人未満での長期関係」というものがあります。
年上の男と年下の女の「幼なじみ」発→「カップル」のエピソードですが、これぞ幼なじみから始まっただけの遠慮の無さというか距離感が光りましたね。長年幼なじみしてたが故のイベントというか…。
幼なじみって見方を変えれば身内のようなものですからね。幼なじみならではの気さくさがありつつ、男女のカップルならでは空気間がこそばゆかったです。
「だって君は、幼なじみ。」
好きだなんて気づきたくなかった
表題作にもなってる「だって君は、幼なじみ。」は一緒にいるのが当たり前の「幼なじみ」が好きだったと気づくお話。元旦にいきなり告白されて頭の中がグチャグチャになって、好きだって気づくのであった。
これぞ「幼なじみ」ものって超王道ですね。
かの『To HEART』風にいえば、「やっぱ、矢島にあかりはやれねぇ!」である。隣にいるのがごく自然で気づかなかった…いや、気づかない振りをしていたのであーる。
男女を意識しないような家族みたいな近すぎる「幼なじみ」から、年頃の青春で男女を意識した気まずさが満載になって微妙な空気感が光まくってて実にいい。これぞ幼なじみ!って感じでありましたね。
表題作だけあって「幼なじみ」の美味しいところを凝縮もしてた。
「幼なじみ」とはTOYOTA!
TOYOTAが作る信頼の幼なじみ!!
「T」、隣に住んでるは大前提!基本中の基本!
「O」、お兄ちゃん(弟)以上恋人未満でのチョキの関係!
「Y」、「約束」はエンデッィングへの隠し味!
「O」、思い出のなかですべてを忘れたことに…
「TA」、立場が全然変わって再開!!
これが「幼なじみ」なのです!
かのメタ的ギャルゲー視点に定評のあった『神のみぞ知るセカイ』(57話)で語られていました。100%同意ですね。幼なじみには信頼の「TOYOTA」ブランドが不可欠でしょう。
この『だって君は、幼なじみ。』には信頼と実績の「TOYOTA」が満載の幼なじみ短編集でした。つまり、幼なじみ好きとしてとても大満足できた(結婚の約束モノはなかったけど)。
「幼なじみ」は本当に尊いんです。
昨今の業界に言いたい!「幼なじみ大事に!」(ドラクエ風に)
コメント
幼馴染ヒロインが敗者になる風潮は、いつからだろう?
ゼロゼロ年代から始まった気がする
まさかのニセコイオチ無し
いやー、幼なじみ拗らせてますね
世話焼きで高感度MAXな幼馴染なんてのは都市伝説レベルだと思う
正直可愛い彼女作るより無理ゲーな気がする
そんだけ両想いならとっとと付き合うだろうしな
でもそんな奥ゆかしいこの属性が大好きです