『乙女ループ』という女の子3人でキャキャウフフする漫画がある。
登場人物も女子3人だけで、ひたすらしょーもない話をするだけなんですけど、これが実に妙な味わいがあってクセになります。爆笑するような切れ味とか可愛くて百合百合しい(少し百合っぽいけど)ってわけでもなく、女子高生3人組のグダグダでバカバカしい会話の応酬劇なり。
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キレのよいギャグ
頭を空っぽにして、ぼけーっと読むのに最適な漫画じゃないでしょうか。ちょっと(かなり?)残念な女の子3人組みの、楽しくも間抜けな青春(?)の日々をひたすら堪能するのみ。
ギャグは腹を抱えて笑う破壊力ではないですが、時にクスリとしてしまうようなネタが満載。何よりも会話のテンポの良さです。リズミカルに女子高生が会話をポンポンするのでサクサク読めます。このテンポこそ『乙女ループ』の魅力の一つ。
ボケと突っ込みをテンポ良く繰り返すものですから、俳句でも読んでいるかのような心地よさすらあります。登場人物3人でダベるだけというフォーマットで、飽きさせない会話の妙よ。スルメのように噛めば噛む程といいますか。味わい深さすらあるね。
何よりキャラの立ちっぷりよ。バカな港野まつり、性格キツめな須藤奈緒、委員長の豊田智花という3人組はきっちりとキャラが立っています。キャラを全面に押し出したキャラドラマになってる。退屈させないのがスゴイ。これキャラが立ってないと警察の調書みたいになって眠くなるからね。
連載ものだけど、ぶつ切りでどっかの1話だけ読んでも理解できて面白い。これこそ、キャラが立ってるからこそでしょう。オマケの4コマ読むだけでも、3人のキャラが理解できるかと思います。
おまけ4コマ
たかがオマケの4コマ、されどオマケの4コマである。
見事なまでに3人のキャラが分かる。
『乙女ループ』は、どこかの1話をいきなり読んでも分かる仕様なり。キャラが立つってのは2種類あるからね。「キャラ自信の性格」と「キャラ同士の立ち位置」の2つである。前者はたいていの作品でもあるんだけど、後者はなかなか難しい。
かの鳥山明先生は新キャラを出す時は必ず2人組で出すと述べてましたけど、それこそ位置関係によるキャラ立ちですよ。キャラ集団の中で、そのキャラがどういう人間関係なのか、どういう役割なのかを明確にする。全員が可愛いとか強いとこでは「個」が立たないかんね。
そこいくと『乙女ループ』のキャラはそれぞれの性格も位置関係もキャラ立てが素晴らしい。3人しかいなくても、それぞれキャラが立ちまくってるからこそ、ただ会話するだけでも読んでて面白い作品に仕上がっている。
キャラ立ちすぎやろ
3人が3人とも個性的すぎる。
ぶっちゃけ、特別ドラマチックでもなく平凡な日常の世界観だろうとね、しっかりした人間関係が作らるならば、読んでて面白いと思えるシナリオになるんですよ。『乙女ループ』は3人が見事なキャラでただ会話するだけでも面白いのがスゴイっすわ。
また、花火で線香花火ならぬ蚊取り線香という発想は無かった。爆笑ってぐらいの威力はないけど、痒いところに手が届く系のこれぞっていうギャグが冴えているね。個性的な仕事や役割を持ってる3人だけど、『乙女ループ』のキモはボケと突っ込み役が決まってない点でしょう。
ボケと突っ込みが決まってない!
基本的にバカなまつりと天然な委員長がボケて、突っ込み役は奈緒…と思いきや!奈緒がボケることもあります。突っ込み役が変わるんです。キャラの立ち位置を立てながらも、臨機応変にボケと突っ込みが変わるってんだからね。
いやこれ凄いことですよ。
キャラを立てるには特にキャラの立ち位置が重要で、役割分担とか仕事があって、はじめてキャラ同士の立ち位置ってのが見えてくるんですけど、それを踏まえて仕事がごちゃまぜ「になり、それでもそれぞれのキャラの方向性はぶれないってんだからね。これは凄いよ。
また、ほのかに…かすかに…それでも明確に感じ取れる百合臭よ。
この百合臭よ
思わず頬を緩めてニヤニヤしちゃうじゃないの。
わずかだけど、それでも明確に感じ取れる百合臭はなかなかどうしてよ。
ストーリーは基本的に残念な女子3人が集まって、残念なことをして、残念な話題で、残念な結果(?)になる展開の繰り返しです。タイトル通り『乙女ループ』です。乙女がダベるループをひたすら繰り返すだけです。
それでも、キャラの立ちっぷりと話題のチョイスとテンポの良さで読ませてくれます。普通はキャラが少ないと、よっぽどドラマチックな設定やプロットでも用意しない限り、読み物としての魅力を出すのが難しいと思うんですよ。それなのに、『乙女ループ』はしょーもない会話の応酬劇なのに面白いってんだかたね。
しっかりした人間関係があるからでしょう。なのに臨機応変で役割が入れ変わるっていう。そりゃ面白いよ!ギャグ漫画として楽しめますよ。会話するだけなのに。あくまで個人的な感想だけど、プラスアルファで、作者の画力が飛躍的に上がっているのもポイント。おそらく、次巻あたりからは「萌え」られるね。
てか、2巻じゃんくて「乙」なんだ。『乙女ループ』は1巻表記なかったけど、2巻じゃなくて「乙」ってのもオツですね(←上手い事言ったつもり)。面白かったです。まる。
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