最近は漂流ものの漫画がけっこうありますが、個人的には漂流ものの最高傑作は「7SEEDS」だと思います。先日、「7SEEDS」21巻と公式ファンブックが発売されました。
ぶっちゃけ21巻の本編自体は「新章突入」で一区切りという感じ。物語自体はアレという感じですよ。「巨船シェルター編」のオチも「えー?」ってもの。しかし、登場人物の内面的なものが最も動いた巻でもありました。
何がビックリって冒頭からの花が幼女化した描写ですよ。ヒロインがゲロ吐くのはたまに見かけますけど、ヒロインがぶりぶりぶりするのは前代未聞じゃないでしょうか。不覚にも劣情を抱くわけですが(←)。
というか最初に読んだ時は、花が幼女化したのが意味不明すぎました。
花の髪の毛が伸びてる感じから結構な月日が経過しているようですが、そんなに長い事流されて仮死状態的な夢の世界かなとか思っていました。
で、ファンブックによると、一度子供に戻ってこの世界で生き直すという形になっているとか。なるほど。
幼女化した花
そして「ここで生きよう」と。
花だけでなく、登場人物が一皮向けたというか成長したという印象が受け取れます。
毒薬を捨てた牡丹さん、世界が以前と違って見えると思い「この世界で生きていく」と思う夏Bチームの面々。そして安吾と涼。この2人は夏Bチームに合流してから、夏Bチームがピンチになる度にこれはテストだと思っていました。
テストだ、と
反射的に何かあればテストが始まったと思う2人。
夏Bチームの行き当たりばったりっぷりに、何故テストだと気づかないのかと憤慨しながら結局夏Bチームを助けていました。あやうく一酸化中毒で全滅しそうになれば、「気付け、気付けよ」「テストなんだ」「バカかお前ら」と呆れた安吾。「全滅させないってのは難しいんだな、先生たちよ」と呟いた涼。
夏Bチームがテストだとすら気付いてないのにあきれ果てた2人。
でも、本当に気付いていなかったのは安吾と涼だったという…。
テストは所詮テストだった
「これはテストじゃない」
「仕組まれたテストは現実とは程遠い」
「テストは所詮テストだった」
「現実はテストなんかじゃない」
現実はテストなんかじゃないと気付いた涼。安吾が気付いたかどうかは知りませんが、夏Bチームのチャランポラン具合に触発されて何か大事な事に気付くってのはいいですね。
そういえば要も夏Bチームと触れるうちに、「それでいいのか…?」と思っていたのに「それでいいのか…それでいいのか」と納得してました(13巻、夏至の章-拾う-)。なるようになる夏Bチームの緩さは、あの施設出身のどこか心がぶっ壊れた人に重要なものとなっています。
また、21巻で特に印象的だったのはナツと花が同じこの世界で生きていこうと誓うものの、その対比でしょうか。そもそも花は対人関係が上手い、ナツは下手くそでした。以前の世界では人との接触を放棄すらしてました。
そんな人と触れ合う事を放棄していたナツが、この世界を受け入れてみんなで一緒に生きていくと誓うのでした。生きるのはみんなと一緒。
この世界で生きると誓うナツ
「この世界で生きていく…みんなと一緒に」
「みんなと一緒に生きる」と思うナツに対して、花は1人でも大丈夫だと思うのです。
「あたしは1人でも大丈夫」「あたしはきっと1人でも生きていける」「苦手なのかみんなと一緒が、1人がいいのか」「1人のほうが向いてるのか」と、仲間とつるむ事が欠点だったと気付き…。
この世界で生きると誓う花
「あたしはきっと1人でも生きていける」
「―1人で生きていく―」
ナツが「みんなと一緒」に生きようとするのとは逆に「1人で生きていく」と思う花。もちろん、ナツは仲間とはぐれず一緒に過ごしてきたし、花は1人はぐれてしまい置かれてる環境が全然違いますけど、なんとも対照的な印象の2人。
しかし、「死神」要の追跡能力はどうなってんでしょうか。みんな日本でバラバラのはずなのに、短期間でみんなを見つけて観察するなんて。卯浪先生をどうでもいいと言い放つのは面白かったけど。
他のメンバーが過去と決別したり、元の世界の未練を断ち切って「この世界で生きよう」と思ってる中で、未だに過去に囚われて「死神」をしようとしてる要がなんか残されてる感が否めません。何よりも完璧超人のような振る舞いをする要でも解せないのが涼が安吾に付き合っている事に疑問を持った時。
涼の行動に疑問
「なぜ安吾につきあってる」て、お前あれだけ涼と安吾と一緒にいて、涼の安吾に対するホモ臭さに気づかなかったのかよ!僕は涼が安吾につきあうのに何の疑問も持たなかったのに。
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