もしも世界が滅びる日が来たら、その時は―…
『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』(原作:伊瀬勝良、漫画:横田卓馬 )読了。あかん!なぜか泣けてきた。最高だなこれ。ここに青春の全てが置いてある!
神納はじめは、仲の悪い学校の優等生・沢渡慧美と、流行のカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」を通じて、交流を深めるが……!?
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『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』
カードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」を題材にした青春漫画。
ちにみに私は「MTG」をやる機会がほとんどなかったものでルールも知りません。じゃあ楽しめないかといえばノー!またっく知識がないのにめっちゃ面白く読める。なぜならこれは青春ラブコメであり90年代を生きた者のノスタルジーを直撃するからなり。
これアレやな。『ハイスコアガール』を読んで「懐かしいなぁ~」って浸るのと同じだ。MTG版ハイスコアガールが正しいかも。俺達には無かったけどそれでもあった「理想の青春像を具現化したもの」です。
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1998年のノスタルジー
1話「俺たちの伝説(前半)」
『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』は1998年って時代設定が心の琴線鷲掴みです。沖田十三の言葉を借りれば「何もかもみな懐かしい」ですよ。30代の方ならど真ん中にノスタルジーに浸れるでしょう。20代や40代の方も刺さるはず。
作中の雰囲気や出てくる小物の数々。語られる俳優やテレビ番組やアニメやゲームや時事。来年(1999年)はノストラダムスの大予言で世界が滅びると言われたザワザワしたり。歌われる「檄!帝国華撃団」(サクラ大戦)等…。あの頃の僕らは全力で少年だったのです。
MD一つでグッときてしまう。近年すさまじい勢いでレンタル屋がぶっ潰れ閉店続出してますが、この時代はCDをレンタルしてMDに録音してウォークマンで聞いたもんじゃ。そんな何気ない日常が懐かしい。MTGを通して、描かれる1998年のアレコレでノスタルジーな気持ちになってしまいました。良い。
アムラーである
ヒロインの私服がアムラーなのもええねぇ。
アムラー流行ったよねぇ。学校で真面目な女子がアムラースタイルなのもなかなかどうして。ドキドキしちゃう。
時代を反映している細かい描写が素晴らしい。あの頃に青春時代を過ごしたおっさんを少年に戻してくれる。1998年の日々がたまらなく懐かしい。『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』は忘れてしまった、大切な何かを思い出してくれるのだ。
青春ラブコメだ
神納はじめと沢渡慧美
「MTG」を題材にした作品でルールを知らなくても問題なく読めるのは、青春ラブコメである部分が大きい。
神納はじめは、学校一の「MTG」実力者。休み時間にカードゲームしてれば、優等生の沢渡慧美から「中学二年生にもなって子どもっぽいなーって思って見てただけ」「あとそれ校則違反だから」と注意されてしまう。真面目女子っぷりで嫌味を言われる。
犬猿の仲って感じですね。スクールカーストもはじめは「オタク」って女子からバカにされるが、沢渡さんは品行方正でカースト上位女子だし。学校のテストも学年万年2位のはじめと、常にトップの沢渡さん。
はじめは一方的に敵視してたわけですが、隣町にある喫茶店兼MTGショップで沢渡さんと再会する。子供っぽいとバカにしてた「MTG」で相当な実力者だったのでした。こうして、はじめにとって沢渡さんは「MTG」でも因縁というか超えるべき相手となったのでした…。
甘酸っぱい
2人のボーイミーツガールがとにかく最高。
沢渡さんは学校ではカードゲームなんて子供っぽいと言いつつ、隠れて「MTG」をプレイしてかなりの実力者。その裏の顔を知ってしまったはじめと「MTG」を通じて描かれるラブのコメりっぷりが破壊力抜群です。
ラブコメ萌えによるニヤリング&ローリングで身悶え3回転半を記録するぐらいラブコメ漫画として秀逸なんです。見てるこっちが小っ恥ずかしくなってしまうぐらい青臭さ100%です。本当にありがとうございました。
「MTG」も雰囲気で理解できる
ルール知らんが何となく分かる
カードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」についてまったく明るくないのに楽しめるのは、なんかすごそう感と雰囲気の描き方が秀逸なのも大きい。横田卓馬先生は前にジャンプで競技ダンス漫画描いてましたが、あれもルールや採点方法全然知らんけど観客の反応などで「すごそう感」出ててたからね。
MTGのバトルも、この辺の「雰囲気」の描き方がめちゃくちゃ上手い。ルール全然分からないのに、これは凄い戦法なんだとか、これはピンチなんだって勝負の流れが一目で分かります。これは上手いなぁと。
例えるなら『月下の棋士』や『ヒカルの碁』(やハンターの軍儀)みたいな。将棋は駒の動かし方しか知らんし、碁石は囲めばいいんでしょ?って知識しかないっす。なのに楽しめたのは、競技そのものの勝負をバトル漫画のノリで魅せてたことだよね。
そのルール全然知らんが、主人公や対戦相手の心理描写や観客の反応などで、すっげー攻撃してるとか押されてるって「雰囲気」がよう分かる。『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』もそこが完璧なので、ルール知らなくてもカードバトルの攻防が理解できます。
神納はじめと沢渡慧美
ポリンキーポリンキー三角形の秘密はね
「1998年のノスタルジー」「青春ラブコメ」「ルール知らなくても楽しめるMTGのバトル」と見所満載の中で、ヒロイン沢渡さんがMTGをしてる理由が何かありそうなところがフックとして効いてて吸引力を高めてくれる。
1巻でも隠れてMTGやってる理由を2回聞いたのに頑なに教えてくれません。読者だって「これは何かあるぞ…」と想像できるぐらいの描写です。しかも、その理由は、主人公のはじめに関係してそうな、いい意味で餌と伏線の巻き方も上手い。
基本的にはじめ視点で描かれたボーイミーツガール青春ですが、1巻の終盤で沢渡さんの視点で話を転がしており、はじめから見た沢渡さん以上の含みを感じさせます。彼女の真意は不明ながら、もしも世界が終わる日が来たら「思い出してよね…」というモノローグ。
これは2話のカードゲームで負けたら何でも言うことを聞くで言った言葉を思い出してなのかもっと深い(昔に交わした約束って)意味があるのか。ちょっと気になる。まるでエロゲの結婚の約束を忘れた主人公と、今でも覚えてるヒロインに見えた(気がした)。
なんにしてもこの2人最高にニヤニヤできる。
こいつらさぁ…(笑顔)
うわぁ…なんだろう。2人の「友達以上恋人未満」っぷり。見ているだけで超ドキドキする。2人の一挙手一投足や赤面してるのが最高すぎる。ドキドキ感は至高なり。これはまさに思春期のドキドキだ!思春期のドキドキだ。
ラブコメ描写だけでも強い。それに加えて、1998年って時代の懐かしさ。私はルール知らんがMTGをプレイしてならもっと刺さるだろう。ノストラダムスの大予言でザワザワしたあの頃。懐かしき「世紀末」の空気感。おっさん懐古を刺激して甘酸っぱいラブコメ。良すぎる。
『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』超お勧めです!
1998年を生きた全ての人に!まる。
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コメント
当時の年齢が全く同じでMTGやってたので共感度が半端ない
もうノストラダムスの予言が世間を賑わせてたのが20年以上前という事実、、
MTGはコロコロでデュエル・マスターズでやってたし知ってるけど途中から作品名のカードゲームになったんだよな
主人公の好みがリューナイトのパッフィーと聖剣3のリースで懐かしくてワラタ。
今でも現役ですよ。
「すべての人類」には、自分も含まれます。
自分は特別なんて、そんな都合の良い事は無い。
これが、マジック ザ・ギャザリングのルール。
オナニーマスター黒沢のタッグ復活ですか
伊瀬作品は、いつも出だしは面白いが、締め括りは強引なハッピー・エンディングで納得いかないのが玉に瑕
私もヤマカムさんに近い世代ですが、1998年の段階で世界が滅亡する予兆ほぼゼロであり、冷めきっていました
(むしろ2000年問題で何が起きるかワクワクしていた)
ポータブルMDプレイヤーはゼロゼロ年代になって、アルバイトでようやく買ったので、この時に持っていた人が羨ましかったです
まさかオーディオ・カセットよりMDが先に絶滅するなんて想像もしなかった……
日中の光使った時点でバカバカしくなった
むしろヒカ碁もこれも、元のゲームのルールの理解が深いと細かい部分が気になって楽しめない説。
なんでこういうのをジャンプの時に描かなかったんかな・・