『もっこり半兵衛』4巻 もはや人生の教科書である!

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もっこり半兵衛 4 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

『もっこり半兵衛』(徳弘正也)4巻読了。

3巻に続いて電子書籍のみの販売です。こんな面白いのに…。

時は享保二年。かつてある藩の剣術指南役でもあり、滅法腕の立つ月並半兵衛は脱藩しひょんなことから月一両で江戸の用心棒をしている。娘とふたり貧乏長屋暮らしをしながら仲間の夜鷹や陰間の乱丸、飴売りのお駒と涙あり、笑いあり、時にはちょっとHな剣客人情大江戸絵巻を紡いでいく。

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『もっこり半兵衛』4巻

相変わらず染み渡る人情話

江戸は平和だ

4巻に収録されてるエピソードは「岡っ引き善造の正体」「玉五郎の贔屓」「茂吉のだいこん」「正吉のかんざし」「相模屋の恩」の本編5本。

そして徳弘正也先生の1Pコラム漫画4本が収録されています。

どのエピソードもコラムもめちゃくちゃ染み渡る。

おバカで下品な徳弘節のギャグとグッとくる人情でシリアスなとことん真面目なギャップが光ります。お気に入りは「茂吉のだいこん」「正吉のかんざし」の2つかな。

『もっこり半兵衛』の特筆すべき点は悪人斬ったり事件が過ぎれば「めでたしめでたし」のハッピーエンドで終わることがほとんどないことでしょう。

初期はそういう起承転結になってた話も多かったけど、4巻では「これハッピーエンドなのか?」って疑問符付く話も多いです。

ただの「めでたしめでたし」でない

19話「茂吉のだいこん」

江戸近郊に済む百姓の子供茂吉の話。

10歳でだいこんを売りとして働いており、半兵衛の娘のさおりと仲良くなる。百姓は副業が当たり前で、子供の茂吉と母親は農作物を売り歩き。父親は旗本屋敷の草履取をしている。働き者です。

茂吉の父親が働く旗本というのが、いかにもな小悪党というか人を見下すような人物で、バカにされた茂吉の父親は逆上して掴みかかってしまう。

うちどころが悪く運悪く主殺しの罪になってしまい連座で子供の茂吉まで処刑されてしまうことになるってエピソードなり。連座とは、犯人だけでなく妻・子・親・兄弟にいたるまで打首獄門となる刑罰。

父親が奉公先の主人を殺したのか

可哀相な話だと思う。

で、半兵衛はどうしたかといえば仲良しだった娘に声をかけさせ続けるのでした。「あんたは悪い事なんてしてない」「絶対極楽に行く!!極楽にいくよ」と。

茂吉を助けてあげるでなく声をかけて極楽に行けると励ます。

死刑は免れない。不条理だ。陳腐な言い方だけど深いなあ~と。

これが『ジャングルの王者ターちゃん』のターちゃんなら全員ボコボコにして茂吉を助けて「めでたしめでたし」になるもんじゃないですか。前も言ったけど、『狂四郎2030』ラストのように個人で国のシステムをどうこうなんて無理ってリアルさがある。

半兵衛がその場の役人共を全員叩き斬って茂吉を救出したらどうなったか考えてしまう。半兵衛なら、その場はどうにかなるかもしれんが、そこから先は無いわけで…。

何でもズバって解決するスーパーヒーローでは断じてなく、あくまでもちっぽけな個人なのがミソよね。手の届くところで可能な限りでしか救えない等身大なヒーローなんです。そこが悲しくてやり切れなくて。それでも渋くてカッコイイんだ。

歴史漫画としても

大岡忠相

また4巻では、これまで漠然とフワッと江戸時代の話なんだなって程度の時代認識でしたけど、リアルに歴上の人物・大岡忠相が絡んできたこと。

いつの時代なのかが正確に判明もしました。

享保2年(1717年)です。

とはいえ、『それ町』のように数年ぐらは時系列がバラバラになって描かれていそうな日常人情劇な気もするのでなんともいえませんけどね。とりあえず八代将軍吉宗の時代で「享保の改革」がけっこう重要(なように見えた)。

なんだかんだで『もっこり半兵衛』の魅力は脇キャラにもありますからね。

いつのまにか、半兵衛と過ごすようになった人も増えました。

みんな良いキャラしてます。

大岡忠相も準レギュラーになりそうで、これからの絡みが楽しみです。

深いんだなあ…

20話「正吉のかんざし」

語彙力が無く「深い」「考えさせられる」としか言いようがないんだけど、20話「正吉のかんざし」はすごく深い話で考えさせられました。

家が貧乏で吉原に妹が売られ、その妹は病気になって寝たきり。兄の正吉は一生懸命働いて妹の見請け代を稼いでましたが、結局寝たきりの妹を取り戻すことがでず亡くなってしまった。あんまりにあんまりな話である。

でも、どこかに救いがあるのがヤベーよ。正吉と妹は不幸だったんだろうか。「かわいそうな話」だったのか。そんな同情を集めるだけのエピソードじゃ断じてねぇ!もっと深い真髄を味わったぜよ!

「かんざし」「遊郭に売られた娘」「病気になって死亡」って2巻8話「裏長屋のお玉」を踏襲するものでもあるね。実際、妹の遺体を引き取った正吉の元へ駆けつけた禿はお玉ちゃんです。

8話

お玉ちゃんは遊郭へ売られた後の顛末はすでに描かれています。

禿から出世していって20歳で花魁になる。

その後、お玉は禿から異例の早さで出世し、20で最上級の花魁となった。しかし、病でたおれ23歳の短い生涯を終えた。

8話を読んだ時の感想は「お玉ちゃん可哀想」としか言いようがなかった。

しかし、5巻20話で禿時代のお玉ちゃんを出して、これから彼女が歩む境遇とほとんど一緒の正吉の妹の顛末が描かれ、なんとも言えない深みとコクを味わった。夜鷹の言葉を借りれば「ハッピーエンドじゃん」である。

お玉ちゃん…この後は病気になって若くして死んでしまうことが確定してる。とはいえ、それはバッドエンドではないのかもしれんな。そんな風に考えさせる。過去のエピソードをより味あわせてくれるのがヤバイよ。

僕らはみんな生きている

じゃ蕎麦でも食いにいくか

やっぱり『もっこり半兵衛』は良いなあ…。

各エピソードの深みや現代社会を風刺するような話があったりと多方向に味わえるだけでなく、なんのかんので「僕らはみんな生きている」って結論になる。

すっげーキツイ話から、人間の闇部分をえぐったり、どうしようもないことや救いきれないものがあるって浮き彫りにする。すっきり大団円なんてあり得ない。だけど、今日も明日も半兵衛は生きてく。どこか爽やかに…。

1話1話の読了後のなんとも言えん感情よ。すっきりハッピーエンドでは決してないけど、「かわいそう」な話ってだけでもない。救いきれないものはある。でも、どこかに救いがある。鮮やかではないが感動を呼ぶ。

「タクティクスオウガ」の言葉を借りるなら、思い通りに行かないのが世の中なんて割り切りたくないから!ですよ。でも明日の明後日も人生は続くんです。嫌なことあったが、いつまでくよくよして後ろ向きに居続けるわけにゃいかんぜよ。そんなメッセージ性もある(気がする)。

描きおろしの1ページ漫画もすごい。

60歳になった徳弘正也先生のコラムです。

なんつーの?全てが心に刺さる。

人生の教科書です(マジで)。

『もっこり半兵衛』とは…人生の教科書である!

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コメント

  1. 匿名 より:

    ほんと紙で読みたかった・・・

  2. 匿名 より:

    ハッピーエンドじゃん

    兄妹の別れも、夜鷹にしてみれば十二分に救いのある話なんだと思わせてやるせなくなるけど、笑ってそう言ってくれるから救われるし切ない。

    笑顔で言うこの言葉は徳弘先生ならではと思います。

  3. 匿名 より:

    タイトルだけで徳弘ってわかる

  4. 匿名 より:

    メジャー誌からもう一度声が掛かってほしい作家さんですよね・・・。

  5. 匿名 より:

    割と電子書籍でセールしてる印象ある
    なにげに結構買ってる

  6. 匿名 より:

    紙媒体で出ないって事はそれだけ売り上げが見込めないって事でしょうね
    面白いけどいざ書籍で出して売り上げが見込めるかどうか
    ツイッターでバズった漫画が書籍化したけど売り上げはいまいちなんて話は良く聞きます
    逆に言えば書籍化するには厳しいけどコストがそれほど掛からない電子書籍のみであれば出版ならできるとも言えるわけで
    そういう意味ではいい時代ではあると思います

    • 匿名 より:

      これですね。
      捉え方次第で、もしかしたら電子という場所がなければ読むことすら敵わなかったかもしれない。
      いい作品が必ずしも売れるとは限らないというのはどの世界でもある悲しい話です。

  7. 匿名 より:

    今はエロとか頭使わないで読めるのが主流だからなぁ
    面白いのに売れないのは世知辛い

  8. 匿名 より:

    徳弘正也の最高傑作は?

  9. 匿名 より:

    最後の話の「相模屋の恩」も良かったですわ
    ラストの前のシーンで主人が堂々と欺瞞を吐いて、奥さんは済まなそうに顔を伏せる…
    その表情から半兵衛は全てを察して店を後にしたあのシーン
    ヤマカムさんが言うようにそれでも「僕らはみんな生きている」が集約された名シーンでした

  10. 匿名 より:

    紙媒体で読みたかったなああ。
    いつか単行本で読みたいです。