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『君だけが光』、甘味と苦味のバランスが絶妙なコクのある大人な百合作品

君だけが光 (楽園コミックス)

 

『君だけが光』(シギサワカヤ)読了しました。

むむむ?シギサワカヤ作品にしては優しい話だぞ(胃が痛まないとは言ってない)。そして苦味はあるが晴れやかな感動があった。

 

「ダメ社会人ガールズラブ」という異色のシリーズ全10話と、高校時代の出会いから社会人になっての再会までを描いた「プレパラート」全話を完全収録した著者初のガールズラブ作品集。

 

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<試し読みできます>

君だけが光|白泉社
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『君だけが光』

シギサワカヤ先生初のガールズラブ作品集。

大きくわけて2つの長編ものを収録。

 

社会人同士の肉欲に溺れたショートショートの連作10話と、高校時代に仲良くなり大人になってから再会する「プレパラート」シリーズ。どちらの作品もとても良かったです。読み終わった後にタイトル『君だけが光』って改めて見て至高だよなと思うなど。その通りだよなと思うなど。

「ダメ社会人ガールズラブ」シリーズ

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「アーリーサマー」

 

「ダメ社会人ガールズラブ」は結婚式場で出会った花嫁と式場で働くブライダルスタッフが肉体関係になる話。「人妻×社会人」のガールズラブって珍しいですね。ショートショートの全10話。副題は以下の通り。

 

「スプリングハズカム」「アーリーサマー」「サマーバケーション」「サマーバケーションAFTER」「インビジブル・サマー」「フォール」「メモリー」「アブソリュート」「フェイタル・エラー」「スプリングハズカム アゲイン」

 

花嫁・純香さんが、新婚旅行で旦那が来れずに代わりにブライダルスタッフの美沙さんを誘って肉欲に溺れるところから始まり、シギサワ作品には珍しく(?)、清々しいぐらいのハッピーエンドでした。読了後に爽快感があるぐらい。

 

あえて評すればシギサワ作品の魅力って事後ですからね。致した後に裸で駄弁ってることが特徴的。このシリーズは前半ほとんどそういうシーンなのでめっちゃ面白い。普段の素だと表層部分しか触れないが、事後だともっと奥底のセンシティブなところに触れてるのがたまりません。

 

行為そのものよりも事後こそある意味本番。セッ…がとても意味がある過程なんだなと。本音やむき出しの感情を引き出しす効果は抜群だ!

 

あと、「フォール」「メモリー」の出会って「出会って2年10ヵ月」記念の真意が判明する構成は上手い!と素直に感心しましたね。それに美沙さんが気付いたかどうか読者が想像するしかないのもニクイ。エピローグ含んで最高でした。

「プレパラート」シリーズ

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「プレパラート(後編)」

 

こちらのシリーズは「プレパラート(前編)」「you're my only shinin' star」「プレパラート(後編)」「遠き光」の4話からなる。素晴らしい!と声を大にして叫びたい。

 

ガールズラブとか百合ではなく、あくまで女同士の心と心が繋がる友情の話です。

むしろ「…人生かな」。「プレパラート」は人生!(クラナド風に)

 

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高校時代にヒエラルキー下層の美術部の八田と、ヒエラルキー上層の崎谷がふとしたきっかけで仲良くなるも疎遠になる。そして月日が経過し社会人となり再会するが…というもの。

 

疎遠となった理由も愛憎入り混じった感情のアレコレをじっくりコトコト煮込んでおります。ただの若さ故の嫉妬に見えるが社会人になっても同じ感情を抱いてるのがミソだね。

 

この人の描く女性って「好き」と表裏一体で「嫌い」が同時に浮き彫りにされるから摩訶不思議な魅力(?)があります。「可愛い」「温かい」といったものと同時に「怖さ」「冷たさ」のハイブリッド仕様がたまらんわい。ザクザクくる。

 

八田の愛憎っぷりがなかなか刺さります。

「…妬ましい、と思う」「だけど私好きなんだ」のモノローグが全てですわね。

「光」の話

八田は開始2ページから「私の中でだけ返事をしてそれでおしまい」というのが崎谷との関係でした。この頃は別に仲良くも何ともないんだけど、仲良くなっても社会人として再開しても、八田は崎谷に本音を伝えない。

 

ずっと羨ましかった。そして、あの頃の全てはあんたで満ちてた。それらをことばにすることはないけれど。

 

八田にとって崎谷は照らす「光」であると。

 

比喩的表現から直接「光」と例えてたりと、塩崎を光と呼ぶモノローグが沢山ありますけど、絶対に言葉に出さないのが八田クオリティでした。「プレパラート(後編)」ラストもメール(LINE?)のやり取りは「〝願ってます〟」という形で〝〟に括られてるので、最後の言葉は伝えてないだろうし。

 

それがラストのラスト、「遠き光」で何かを言葉に出そうとしてるのが胸熱なんですよ。「私の一番の…」という尻切れトンボで実際に何て述べたかは読者が想像するしかないんだけどね。同時に「これが描けたら良かったのになあ」を八田も描けたのかと思ったり。その絵はキラキラと光ってました。

 

読了後に鮮やかな感動を呼びます。おすすめ。

そして、大切な何かを思い出した(ような気がした)。

 

例えるならば、子供の頃仲良かった友人に借りたまんまになっている、名前まで書かれたファミコンソフトです。これ自分が借りパクしてしまった形なんだけど、返しに行こうか…という気分になりました。まる。

 

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ヤマカム

コメント

  1. より:

    楽園を入荷していた本屋が店終いした。 もう立ち読み出来ない…。

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