『よふかしのうた』第189話:弟離れ
( ;∀;)切ねぇ…。
ああ…アキラの恋がまだ燃え始めてもいないのに燃え尽きてしまった。
太陽の光を浴びたキクとマヒルのように、サラサラと消えてしまった。
終わりが近い(と思われる)『よふかしのうた』。幼なじみアキラはリングに立つこともせず、恋が始まることもなく、終焉を迎えてしまった。あえて言えば中学2年生って年齢のせいだよ(決めつけ)。高校生だったら己の恋心に気付けてはず(断言)。
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アキラに告げる
189話
ナズナちゃんの事が好きなこと、ナズナちゃんも自分を好きって言ってくれて両想いであることを告げる。その時のアキラの表情がとても寂しげなのが印象的です。
コウの事を「弟」として見てたという自己完結で整理つけてましたが、あえて言う!違うだろー!そもそもコウを弟みたいなもんってのは前から言ってましたからね。
「幼なじみ→恋愛感情」はとても複雑で、一緒にいて当たり前・腐れ縁から好きに変換するのは非常に難しい。それこそ古代からのテーマで初代『To Heart』のあかりルートでも明らかです。
アキラは中学生の現時点でコウへの恋愛感情はない。
しかし絶対にある(まだ見えないだけだ)。
私の心眼を持ってすれば見えます。
アキラの芽吹き
さくらちゃんをフったコウに、ちょっとだけ安心している私は最低だろうか。(34話)
これまでアキラは「もしかしてコウのこと好きなのではないか?(願望)」という描写は多くありました。
まず、9歳の頃にポストに置いたくれた(コウは適当に置いただけだが)腕時計型トランシーバーを今でも大事に保存してる。コール来るの待ってたとかさぁ。ただの幼なじみの友達ではない感情は明かです。
また、さくらちゃんが振られたことを「ちょっとだけ安心している」と独白してる。
「君は夜守くんのことが好きなのかい?」(108話)
その後も絶妙な幼なじみの距離感を保ちつつ、探偵さんによく見てるんだなぁ的な意味で「君は夜守くんのことが好きなのかい?」と指摘されてあり得ないぐらい慌ててました。そこでもコウは弟みたいなもので放っておけない「私がみてないと…」と述べてます。
これは今は一緒にいて当たり前モードで「弟みたい」と思ってるだけで、それこそコウとナズナちゃんみたいにきっかけさえあれば恋心に気付いた(と思う)。
コウが会いに来てくれた
めちゃくちゃ嬉しそうである!
今回冒頭で運命の腕時計型トランシーバーが鳴って(もしかしてコウからコール来るかもみたいなワンチャンで装備してたのか?可愛い)、コウの方から会いにきて驚きながら嬉しそうに見える絶妙な表情のアキラ。
それもそのはず!
アキラはコウに会うには自分から会いに行くか偶然しか無かったからね。
コウのやつこっちから行かないと全然会ってくれないし…。なんてやつだ。ムカついてきたぞ。文句言ってやる(130話)
そんなおこだった心情もあったからこそ、コウの方から会いに来たってのは事件なんです。それが目覚めてない乙女心(決めつけ)に終止符を打つ為だったわけですが…。
もう学校には誘わない
でも、もう誘わないよ学校。どうにもならなくて、さみしくなったら来な。(189話)
目覚めてもない恋心であるが、含みを持たせているのが学校にもう誘わないって言葉。アキラは「最後に1回だけ」とコウとの最後の通学をするのです。最後なのです。そしてもう学校行こうって誘わないと。
これは色んな含みがありますねぇ。
というのもアキラは別に吸血鬼になっても「友達」は変わらない(コウ同様に友達の定義がよく分かってないと思われる)。学校は誘い続けるって言ってましたからね。
・でも吸血鬼になったって別に友達でいられるでしょ(昔のようにコウ呼びに戻す)
・良かったね夢が見つかって
・でも学校には誘い続けるからね。吸血鬼になるにしたって勉強はしといた方がいいんじゃないかなぁ。(11話)
吸血になっても変わらんで!だから学校にも誘い続ける!
- 「吸血鬼になったって別に友達」→「学校に誘い続ける」
- 「吸血鬼にならない」→「もう学校には誘わない」
あれれ~?おかしいぞ!(子供探偵の口調で)
このロジックだったらさ、もう吸血鬼になれないコウは人間のままなんだから、変わらず学校へ誘っていいはずだよね。それなのに、ナズナちゃんと両想いと知って、学校へ一緒に行くのは最後でもう学校へ誘わないんだって。
人間か吸血鬼かなんて関係なかったわけですよ。じゃあなんでと言ったら目覚めてない恋心が見える!見えるぞ!さみしくなったら来なって「サヨナラ」みたいなニュアンスよねぇ。
アキラは最高の言葉を言ってくれる
おめでとう!両想いになれて良かったね!(189話)
ふつくしい…。
個人的にはキク&マヒル消滅したシーンに並ぶ、『よふかしのうた』屈指の名シーンに昇華してる。ただただ綺麗なものを見て感嘆する気分ですよ。
思い出すのは修学旅行編で、マヒルと喧嘩してしまって落ち込んでるコウの胸を叩いて「いいんだよケンカしちゃいな。まだ途中なんでしょ?それで最後笑えば仲直りだよ(149話)」かな。
結果的に、コウは喧嘩すりゃいいんだって木刀担いでマヒルを追い回してもっとヤベー感じになったりしましたが、アキラは本当に一番のコウの理解者で勇気というか後押しする言葉をくれる。
コウから(おそらく作中初)アキラに会いに行った理由は、ナズナちゃんと両想いになったって報告ですからね。それを色んな感情飲み込んで(まで発芽してない恋心)、「おめでとう!」って胸を叩く。感動的ですらありました。
コトヤマ先生といえば、業の深い癖にぶっ刺さるポーズやアングルが最高なんだけど、表情もまたいいんだ。今回はコウの表情がすごく良かった。
なぜか申し訳ない表情のコウ
ナズナちゃんを好きになったとか両想いになったとアキラへ報告する時のコウの表情は、まるで浮気したとか、想い人を振るみたいな、申し訳無さそうな表情なんよね。
もちろん中二の2人は定義が曖昧な幼なじみの「友達」の範疇なんで、恋とかはどっちも無い。なのに申し訳無さそうに恐る恐る言うコウの表情と、「おめでとう!」「良かったね!」と言われた表情の変化よ。
めちゃくちゃ嬉しそうである!
ああ…。コウから会いに言ってきちんと報告し(申し訳無さそうな表情)、アキラから祝福され超ハッピーな表情になった変換を踏まえると、生まれることが無かったのに2人の複雑怪奇な幼なじみ特有のアレコレが刺さる。
もしも、コウとナズナちゃんが出会わなければ、絶対アキラルート突入だったのは初期から示されてたもんね!
10話
コウはもともとおっぱい星人なのである!
アキラは中学生とは思えない大きな乳房の持ち主である。だから、貧乳のナズナちゃんと出会わなければ、年相応に幼なじみアキラのおっぱい大きくねぇか?と思春期男子みたいな感情出て性欲爆発して恋愛感情に目覚めたのは明かなのです(確信)。
コウとナズナちゃん(貧乳)が出会わなければ、アキラと不登校や登校繰り返し、いつしかお互い初手から定義バグってた「友達」幼なじみ特有の「友達以上恋人未満→LOVE」になっただろう。でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ。だから、この話はここでお終いなんだ。
終焉
もうちょっと誰のモノにもならないでほしかったな~(189話)
ふつくしい…。
つーか、これ恋心自覚してないのに本音やんけ!
それはまるで4月中旬以降に見る散る桜のようである。線香花火のラストのようである。
アキラは今でもコウオのことを弟のようなもので放っておけない対象で論じており、誰にモノにもなって欲しくなかったなぁと哀愁漂らせてた。
いやいや!「弟離れの時期」ってさぁ…。姉と弟ってのは「家族」でしょうよ!例え、弟が結婚しても別に変らんぞと。数年合わなくても「お、元気?」「そういえばさぁ…?」みたいな会話できるのが家族だし弟なんよ。
誰かと結ばれて終わる関係は「弟」では無い。断じて無い。
それが答えやで。コウは「弟」じゃないんや!幼少期から変わらず弟「みたいな」存在であり、そこから変化する幼なじみ特有の機微は確かにあった。それが目覚めること無く終わったのだ。
故にサブヒロインの恋が破れた失恋話でもなく、アキラ自身はその後に恋心と自覚する前段階で「失恋」って状況になってるわけ。だからこそ美しい。ナズナちゃんが現れきゃ約束された勝利の幼なじみルートだったはずなのだ。
こうして朝井アキラは、恋心がまだ燃えてもいないのに終わった。点火する前に終わった失恋なのです。それゆえの美学が詰まってた。これは例えばのハンシだけど、コウ&アキラが高校生になってたら違うルートもあったのでは?僕らが君に語るのは例えばそんなメルヘン。
いやぁ〜、幼なじみって本当にいいものですね!(水野晴郎ばりにしみじみと)
※追記
アキラのセリフがだがしかしのサヤ師のセリフのオマージュであることに触れられてない…だと?
もうちょっと誰のモノにもならないで ココノツに言えたサヤ師→フラグが残った状態で連載終了(未来はわからない)
もうちょっと誰のモノにもならないでほしかったな と言えなかったアキラ→フラグ消滅
は見事だと思いました
>コメントより
あー!これサヤ師のオマージュになってたのか。
気付きませんでした。確かに同じ台詞やねぇ。
同じ三白眼幼なじみの系譜でも比べることで違う味わいがありますねぇ。しかし、コトヤマ先生は幼なじみ絶対敗北主義なのだろか。笑
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コメント
アキラのセリフがだがしかしのサヤ師のセリフのオマージュであることに触れられてない…だと?
もうちょっと誰のモノにもならないで ココノツに言えたサヤ師→フラグが残った状態で連載終了(未来はわからない)
もうちょっと誰のモノにもならないでほしかったな と言えなかったアキラ→フラグ消滅
は見事だと思いました