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『久保さんは僕を許さない』堂々の完結!最高の青春を謳歌した「ヒロインと主人公」だった件

久保さんは僕を許さない

 

くぅー!感無量である。

 

今週のヤンジャン(2023年14号)で『久保さんは僕を許さない』(雪森寧々)が見事に最終回を迎えました。まさに大団円です。

 

付き合った「あと」を描くとグタグタになるのがラブコメのデフォですので付き合う「まで」で終わらせたのは、読者にもうちょっとだけ見たいと思わせて見事な着地だったんじゃないでしょうか。

 

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高木さんのフォローから…

12話

 

『久保さんは僕(モブ)を許さない』は主人公の白石純太が、ドラえもんの「石ころ帽子」をかぶってるんじゃないかってぐらい人から気付かれない。存在感がまったくない影の薄い男でした。

 

それなのにクラスメイトの久保さんだけは白石をいつも見つけて構ってくる。からかってくる。タイトルの意味は久保さんは白石のモブを許さないである。

 

初期は『からかい上手の高木さん』のフォロー漫画といった感じでした。久保さんが白石をからかってきてその様子をニマニマ楽しむハートフルラブコメ。

 

しかし、久保さんはからかう…攻める立場のくせに防御力がザルなのです。

 

34話

 

初期から白石に見えないところで照れたりしてましたが、あくまでちょい照れくらい。途中からディフェンスの弱さがどんどん顕著になっていったのが久保さんが可愛かった所以よ。

 

攻めると白石に不意打ち食らってクッソ可愛いファインプレーを連発させていくのです。「くっそー!白石くんめ!」状態になるのです。例えるなら高木さんと西片くんを一人二役やってるような感じですよ。

 

こうして久保さんのオリジナリティというか魅力が増していったわけです。

久保さんのデレは最高だった

46話

 

圧倒的可愛さである。

 

「白石とやり取りする」→「久保さんが照れる」というフォーマットが完成してからが真骨頂よ。どんどん面白く可愛くなってくんだもん。もう久保さんのデレにハートを奪われるのみです。

 

特に中盤からの可愛さときたら!毎回毎回、自己ベストの照れ顔を叩き出していったのです。どこまで久保さんは可愛くなるんだと成長することサイヤ人の如しですよ。

 

もう可愛いの一言で済むレベルじゃない。「久保さん」という存在そのものが「可愛い」という概念と化してました。

世界が広がった

2年生に進学してからは白石と久保さんの2人だけのニヤニヤやり取りから少しずつ世界が広がっていったのも良かった。

 

それぞれの家族、友人の須藤くん、タマちゃん、工藤さんが準レギュラー化してラブコメでありながら青春してる学校生活が見所の一つとなりました。

最高のアオハル「林間学校」

70話

 

数あるニヤリングイベントの中で個人的に最高だったのは林間学校の肝試しです。

 

怖がりの久保さんは肝試しでお化けにビックリして逃げれば森の中でひとりぼっち。迷ってしまってキャンプ場にも戻れず孤独。そこで白石が久保さんを見つけたのはグッとくるものがありましたね。

 

というのも「白石くん!見つけた!」というのが久保さんだもん。存在感無い白石を見つけられるのが久保さん。それが逆の立場で、白石が久保さんを見つけるってシチュエーションが最高だったわけです。

 

しかも、泣き止まない久保さんを見て思い出すのは、久保さんの姉・明菜さんから「頭撫でると泣き止んでくれるからわかりやすかったなー」という子供の頃の話である。

 

大泣きして大変だったんだけど、渚咲は頭撫でると泣き止んでくれるからわかりやすかったなー。今でも泣いてるとき撫でてあげれば泣き止むんじゃない?機会があったら試してみれば?あの子撫でられるの好きだし。もしもの時は頼んだぞ少年(37話)

 

それを実行して本当に泣き止んだのは頭撫で撫での見事な起承転結であった。

 

また明菜さんは家に帰って今でも久保さんが頭を撫でられるの好きと確かめながら「好きなコに撫でてもらったらもっと嬉しいかもね」と述べていた。そのアンサーでもありました。

 

「下着買うところに出くわした」→「水色が好きだとバレた」→「後日、水色の下着着用してた久保さん」と並ぶ見事な伏線と回収のエピソードでした。

最高のラブのコメりっぷり「花火大会」

99話

 

もうひとつの最高エピソードは花火大会でしょう。「白石くんみっけ」とはこの作品の水戸黄門の紋所のようなお約束ですが、それは存在感が無く背景に溶け込んだ白石を見つける能力に長けてたという意味でした。

 

花火大会では白石がはぐれてしまって人ごみの中で物理的に見つけるのが不可能に近い中で、久保さんが必死で探して見つけたのは感動的ですらありました。しかも、白石の幼少期のトラウマを払拭する形で、花火に良い思い出無しから最高の思い出に昇華させた。

 

ラブコメと花火大会の組み合わせはすこぶる良い。名作ラブコメには花火大会の名シーンがあるのです。

 

 

『かぐや様』でもあった、心臓の鼓動の音と花火の音を合わせた青春の1ページがありました。前から久保さんを意識してたものの花火大会で白石は完全に惚れたよね。

 

…やば。久保さんは友達なのになあ…。ずっとドキドキしてる(101話)

 

至高のアオハルが花火大会に詰まってましたね。

白石は久保さんを好きだと自覚し出すのであった。

文化祭の久保さん

す、好きな人が…できました…!(119話)

 

一方の久保さんは文化祭が転換期よなぁ。もとから白石を意識してましたけど、同じクラスのモブ男に文化祭一緒に回ってと誘われて時に気付いたんよね。

 

モブ男いわく「好きな人と一緒にまわりたくて」で気付いた。自分も同じだと。本人いわく「いつの間にか好きになってた」ですが、それが恋だと自覚したのは間違いなく文化祭。あのフラれたモブ男は助演男優賞をあげたい。

 

そんなわけで2人は最初から両想いだけど、自分の気持ちをちゃんと自覚するまでの紆余曲折があったわけです。ゆえに最後の告白は…ドラマチックのかけらも無いのが逆に素晴らしい

ドラマチックのかけらもないのが逆に良い

140話

 

修学旅行で告白するには絶好の良い雰囲気だったのに邪魔が入ってできなかった。須藤に告白できなかたよぉと話してたらそれを聞かれてしまった

 

普通のラブコメなら誤魔化すものですし、白石も「さっきのはちがっ…」と無効化しようとするのに、そこで誤魔化さないのが『久保さんは僕を許さない』の良さ味だし誠意があった。

 

さっきのはちがっ…くないんだけど…でもちゃんとしたいので、修学旅行明けの放課後、教室で待っててくれませんか(140話)

 

いまだかつてラブコメで好きだとお漏らしして否定も誤魔化しもしないでそのまま通したものがあっただろうか。これもう告白してるの同義じゃん!

 

だから告白自体にドラマは無い。予定調和の着地です。だがそれが逆に新鮮で良かった。素晴らしかった。安心安定のニヤリングのカップル誕生でした。

 

個人的に最終回は想いを通じ合わせる確認作業よりも「青春」と「主人公」なのが芸術的だったかなと。

「久保さんが現れた」

1話

最終話

 

青春したい。それはきっと誰もが思うこと。だけども僕では叶わない。空気のような僕は存在を周りに認知させるのが人より難しい。座っていたのに座られてびっくりされたり。皆勤賞なのに皆勤賞と思われてなかったり。僕の存在感ないエピソードはとどまることを知らない。確かにそこにいるのに認知されない。それが僕。青春を謳歌するどころか青春のステージにも上がれない。そんな僕の前に久保さんが現れた(1話)

青春したい。それはきっと誰もが思うこと。だけども僕では叶わない。そう思ってた。空気のような僕は存在を周りに認知させるのが人より難しい。座っていたのに座られてびっくりされたり。皆勤賞なのに皆勤賞と思われてなかったり。僕の存在感ないエピソードはとどまることを知らない。確かにそこにいるのに認知されない。それが僕。存在感は今でも変わらないけど。そんな僕の前に久保さんが現れた(最終話)

 

1話の白石のモノローグをほぼそのままリフレインしてるものの、最終回の白石はちょっと違う。それは「青春できた」ことに尽きる。青春を謳歌したいって願いが叶った。「久保さんが現れた」とは青春の始まりですよ。

 

1話の「久保さんが現れた」はこれからはじまる青春の予感を感じさせ、実際に体育祭や林間学校や海や花火大会や文化祭や修学旅行など沢山の青春がありました。

 

だからこの漫画はここで終わりだけど、2人の物語はカップル誕生で終わったけど、これからも青春がたくさんある予感しかしないわけですよ。なんたって「久保さんが現れた」んだからね。これから付き合っていく2人は100%青春を謳歌すると。

久保さんは僕(モブ)を許さない

1話「ヒロイン女子とモブ男子」

 

1話のサブタイは「ヒロイン女子とモブ男子」でした。存在感無く誰からも気づかれない白石は授業中に立ったら気付かれるかの検証。イスの上で正座、立膝、そしてイスの上で立ってみるまで半ば脅されて実行したら、流石にバレちゃいました。

 

最高の笑顔で「今日の授業の主役だったね」と言い放った久保さんである。確かにモブを許さなかった。それを仕込んだ久保さんは「敵」と認定したら、またまた最高の笑顔で久保さんは言うのです。

 

白石くんの敵じゃなくて

私は白石くんのヒロイン

 

これには白石もあり得ないと思うのでした。まず自分が主役なんてあり得ない。そして久保さんが自分のヒロインなんてもっとあり得ないと。

 

そんな1話があるからこそ最終回のサブタイトルは最高と断ずるに些かの躊躇もないわけです。

 

144話「ヒロインと主人公」

 

1話の「ヒロイン女子とモブ男子」から最終話の「ヒロインと主人公」ってサブタイは上手くて美味い。

 

授業の主役どころか青春の主役になってヒロインは久保さんですよ。あまりにも完璧な起承転結じゃないでしょうか。最高のアオハルじゃないか(感動)。素晴らしい青春の主役とヒロインでした。

 

それはそうと、前もって告白するって宣言されて臨んだ久保さんは水色の勝負下着を着用してたのだろうか。私気になります!

 

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ヤマカム

コメント

  1. 匿名 より:

    水色の下着は着用してました!!(断定)

  2. 匿名 より:

    素晴らしい漫画でした
    機会があったら過去エピソードとかもっと掘り下げて語って欲しいです

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