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『商店街のあゆみ』panpanyaワールドはいつも新感覚で楽しませてくれて飽きない!そして哲学みたいなのある!

商店街のあゆみ (楽園コミックス)

 

『商店街のあゆみ』(panpanya)読了!

1年に1回の楽しみになってるpanpanya先生の新作は安心安定のクオリティ。なのに新しい発見というかアイデアが濃縮してる。じっくり楽しめました。

 

「楽園」からの9冊目のpanpanya作品集。表題作はじめ「家の家」「幕間」「うるう町」「正しいおにぎりの開け方」「ビルディング」「ここはどこでしょうの旅」6~10など生活空間の細部までが愛おしくなる16篇。日記も併収。

 

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同じ主人公の少女といつもの面子ながらシチュエーション変えてドラマを作ることも、描き込みヤバイ背景と鉛筆絵の登場人物のギャップとか、その発想すげぇー!的なことは散々語ってきたので別角度でレビューっす。

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家の中にpanpanya節

 

「家の家」は、友人の家に行ったら迷宮のようになっている巨大ハウス。実はもともと「家の家」で、生物のような家の家族住んでてどんどん子供も大きくなり孫迄生まれて…家(生物っぽいなにか)がくっついて一見の家になってしまったそうな。

 

って、どんな発想だよ!

 

流石はpanpanya先生だぜ。常人には思いつかないアイデアよ。それでいて、風景がよい意味で不気味なリアル調(キャラは鉛筆描き)のギャップが外だけでなく、家を迷宮にすることで隅々まで目で楽しめる仕様。

車でpanpanya節

「ここはどこでしょうの旅⑥」

 

「ここはどこでしょうの旅」は見知らぬ場所にやってきた主人公の女の子が少ないヒントでここはどこか考察していくシリーズ(そもそもどうやって来たのかって「突っ込み」待ちスタイルでもある)。

 

「ここはどこでしょうの旅⑥」は船上に大量の車があり、この車描写のみでpanpanya節が見事に表現されてます。安定のいつものような作品なのに、「これは新しいpanpanyaワールド」ってのが、毎年発です。

殺風景な草原でpanpanya節

「蓋然」

 

大学に合格したら一人暮らしする少女が入試に向かう前に殺風景な風景でポツンポツンと建つ家を見て「もし合格したら、ああいうところに部屋借りて住むのかもしれないな。」と気になって下見をしに行く話。

 

そこは本当に田舎の草原なんですが、panpanya節が健在で、ただの草ばっかでも少し不思議で奇妙な風景を醸し出しており、街並み以外でもこういう味が出せるんだと唸ります。他にも雪原や下水道も絶品でした。

全て薄い

「ここはどこでしょうの旅⑩」

 

これは視覚的にスパイスのようなもになってる(ような気がする)。

 

panpanya描写の特徴を端的に表すと以下2パターン存在する。

 

  • 背景描き込みでキャラは鉛筆絵で薄い…(楽園本誌掲載エピソード)
  • 背景描き込みでキャラは鉛筆絵でしっかりペン入れされ濃い(WEBや同人誌)

 

「ここはどこでしょうの旅」シリーズはWEB連載なのでコミティアで発表してる同人誌のように、キャラはしっかりペン入れされてて濃く描かれてるのがデフォです。

 

しかし、「ここはどこでしょうの旅⑩」はキャラが薄く描かれてる…どころか、キャラは楽園本誌仕様の薄く…さらに背景まで薄くなってるというね。これがまたいいんだ。

 

「ヤバイ描き込みの不気味な背景+薄い鉛筆絵キャラ」の組み合わせは相変わらず素晴らしいのに、「薄い背景+鉛筆絵の薄いキャラ」の組み合わせも新たなるpanpanyaワールド形成してます。

とても考えさせられる

まあ、panpanyaワールド最大の魅力はその「どういう脳みそしてんだ!?」「すっげー発想!」に尽きる。絵の魅力も相まって独特の魅力になってる。

 

今作で個人的なベスト「発想賞」は、「楽しい不動産」「ビルディング」です。

 

 

「楽しい不動産」は、土地が福引で当たり(土地だけ貰っても…と家建てさせる詐欺みたいな福引だった)、ちゃんと建設するのではなくて、「安く済ませればええやんか?」→「家そのものをプラモデルで作る」って斬新な作品

 

等身大の家のプラモデルで済ます

 

プラモデルなので、リアルな家としては色んな問題が起きるんですが、その発想は単純に唸るってものです。その一方で、「ビルディング」など今作『商店街のあゆみ』に収録されてるエピソードでは、家・建造物を生物として捉える節もある。

 

読んでて…panpanya先生にとって、家・建物・町というものは「無機質な建造物」なのか「生きてる生物」なのかと思ったり思わなかったり。そして今作ラストのエピソードであり表題作になってる「商店街のあゆみ」はとても深い。

 

「商店街のあゆみ」

 

家・建物・町は「生物」「無機質のただの建造物」って感じで描きつつ、ラスト表題作「商店街のあゆみ」はどっちにも取れるようになってる。人間の都合で引っ越したら建設してるようでもあり、まるで生きてて意志がある生物のようでもある。

 

そんなテーマがある(ような気がした)。

 

家・建物・町は生きてるのか?ただの人間の都合による建造物か?前編読んで、発想が面白いとか視覚的に楽しめるのは当然で、何かすごい意味合いを感じさせるものでした。

 

panpanya漫画は哲学!

 

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ヤマカム

コメント

  1. 匿名 より:

    相変わらず発想や着眼点が面白かったですが、新鮮さもありました。
    「スーパーハウス」ではらしからぬスピード感や集中線が見れたり、しっかりオチていたり

    「ビルディング」や「商店街のあゆみ」で建物を生物のように例えているというのは私も感じました
    境界標が実はビルの芽とか、よく思いつくなぁ。

    「うるう町」のpanpanya流ミステリーや「正しいおにぎりの開け方」の観察力も良かったです。

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